546. 梁田への好感度

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546. 梁田への好感度

「それじゃ、お母さん。今日は飲み会があるから代行で帰ってくるね。 遅くなるけど、お母さんはちゃんと寝ていてね。」 「わかったわ。飲み過ぎには気をつけるのよ? 静香は飲み口があるから、駄目よ? 迷惑をかけては!ね?」 「大丈夫よ。若い頃とは違うし、先輩と飲むんだから、そこはわきまえてるわ。」 旦那が社宅に戻ってから一週間が経った朝の会話だった。 旦那が母親に言ってくれたお陰で、すんなりと事が運んだ。 今回は虚偽の話ではないから、静香自身もハラハラせずに遅くなれる。 「お母さんは、おっちょこちょいだから駅の階段を踏み外さないでね!」 また、憲一が一言多い発言を静香に向けた。 「大丈夫よ!帰りはエレベーターに乗って駐車場に行くから!じゃあね。 憲一も勉強頑張ってね♪」 いつも静香は憲一より早く玄関を出るのだが、今日は10分も早く家を出た。 梁田とは、この一週間で結構仲良くなれた。 川井と溶け込むより、梁田の方が断然早かった。 多分、年も近いせいだと思うが、何よりも梁田が人懐っこい性格だから、毎日が楽しく過ごせたのは確かだ。 会社に着くと、梁田が笑顔で挨拶を交わしてくれる。 今日は少しおしゃれな服装の梁田に、いつもより増して色気を感じた静香だった。 「おはようございます。今日子さん。今日は一段と綺麗ですね。」 静香はお世辞ではなく、ありのままを梁田に伝えた。 「今日は静香さんとお食事会ですもの。念入りに気合い入れて来たわ♪」 そこに所長が 「お食事会?飲み会だろ?一次会は私も仲間に入れてもらうことにしたからね。 岡野さん。よろしく!」 「え?所長も?」 ええ〰️。聞いてないよ〰️。やだ〰️。所長となんて〰️。 今日子さんが誘ったのかな? 「ごめんなさいね。私が美味しい所を教えてもらおうとしたら、所長の行きつけのお店を紹介したいって言って…」 「いや。女性2人では危険だからね。 私の行きつけのお店なら安心だしさ。 そこの店は和食の美味しいお店なんだ。 今回は私が奢るから一緒に行っていいだろ?」 奢りと聞いた静香は 「え?所長が奢ってくれるんですか? もちろん、いいですよ♪」 現金な静香である。 「但し、皆にはナイショだよ。」 あくまで、回りには事務員2人で飲むことになっている。 所長の奢りだなんて社員が知ったら、全員に奢らなくてはいけないし、行けない社員が焼きもちを妬くからだ。 「店の地図と電話番号はここに書いてある。 予約もしたから、先に行って飲んでくれていいからな。」 「はい!ありがとうございます。」 2人は1日ルンルンな気持ちで仕事をしていた。 「俺も混ぜてよ。」 「私も行きたい。」 そんな社員の声がかかってきたが 「駄目なの。今日は静香さんと2人っきりで飲むんだから。デートなの!」 ハッキリ梁田がそういって、キッパリとお断りしていた。 ちょっとカッコいい頼りになる先輩梁田に静香は憧れはじめていた。 午後5時半。 「それじゃ、所長。お先に失礼します。」 梁田は所長にウインクをして、静香の手を引っ張ってフロアを出て行った。 「ねえ?駅前の喫茶店でコーヒーを飲んでからにしない? 多分、所長はあと、1時間は会社に居ると思うから。 私達が居酒屋に1時間も居たら出来上がってしまうでしょ?(笑) それに、予約は6時だしさ。」 「そうですね。予約ですものね。」 2人は駅前の喫茶店に入ることにした。 「ウインナーコーヒーを2つ」 コーヒーの上にクリームがのってる飲み物。 あの頃は凄く流行ったコーヒーだった。 今はカプチーノに少し似てるかも知れない。 あ。やっぱり似てない。ウインナーコーヒーは上に生クリームがソフトクリームのように 渦巻いているのだ。 静香はウインナーコーヒーは知っていたけど、飲む機会がなかった。 濃厚な生クリームが渦巻くコーヒーに、 どう飲むのかわからなく、静香は梁田の飲む様子を見ていた。 長い脚を組んで色っぽく梁田はコーヒーカップを持つとそのままいつものコーヒーを飲むように口にした。 なんて絵になる光景なの♪ 脚が長くてプロポーション良くて美人で、1人でコーヒーを飲んでいたら絶対ナンパされそうな雰囲気の色っぽさ。 「静香さん?ウインナーコーヒー飲まないの? もしかして、生クリームが駄目?」 梁田の姿を追ってばかりいた静香が我に返り 「え?いえ。はじめて飲むので、今日子さんの飲み方見てからと思って… 生クリームをスプーンで食べてから飲むんんじゃなかったんだ。」 静香の言葉がツボに入ったのか、ケラケラと笑いが止まらなかった梁田だった。 梁田は涙目になりながら 「静香さんってホント!面白い人ね。 だから、好きよ(笑)」 平気で静香を好きと言う梁田の言葉に赤面した。 今日は私とデートなんて言うし、梁田さんって…GL?(ガールズラブ) まさかね!漫画の読みすぎよね(笑) すると、時計を見た梁田は携帯をバッグから出すと所長がくれたメモの電話番号を押し始めた。 「30分遅くなりますって言っておかないとね♪」 電話をする梁田の声はいつもの声より色っぽくトーンが上がる。 いいなあ。素敵な声よね。相手はきっと色っぽいお姉さんって想像してるわよね。 時間に厳しい彼女だから、ちゃんと遅れる電話をする行為に静香はまた好感度が上がる。
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