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547. 梁田のプライベート
喫茶店を出て、所長の行きつけの割烹屋に向かった。
もう景色は夜の繁華街に変わっていた。
ネオンがキラキラと輝き、昼間のイメージと異なっていた。
梁田が不意に静香の腕を組んだ。
「静香さんと初デート♥️嬉しいわ♪」
静香はドキリとした。女性にそんなことを言われるのは初めてだ。
気が利いたセリフの1つも言葉に出なかった。
「ふふふ。静香さんってうぶなのね。
可愛い❤️彼氏もそんなところが好きなんじゃないのかな?(笑)」
梁田の一言一言にドキリと静香の心臓が鼓動した。
「だ、だから、彼氏なんていないですよ!
旦那はいますけど!」
赤面しなが、静香が梁田に目を合わせず反発した。
「はいはい。わかりました。居ないことにしておきましょうね。
私は彼氏3人いるわよ♪」
静香は歩道を歩く足を止めた。
「え?さ、3人?も?」
「ええ。私は彼らの現地妻の愛人とでも言うのかしらね(笑)
いわゆるセフレかしら?」
「え?げ、現地妻?愛人?それってもしかして、営業所の所長?なの?」
梁田は静香の腕を放し、
「そういう事になるかしらね。
まあ、向こう側が妻帯者で、機関長って…単身赴任ばなりなのよね。
だから…人助けかしら?(笑)
結構、愛人になると待遇がいいわよ♪
それに、宿泊費も浮くしね♪
会社はビジネスホテル代として1日8000円出るのよ。
それより高いホテルはその差額は自腹。
相手の社宅とか、アパートとかラブホに泊まればタダでしょ?」
「え?まさか。ここの所長とも?」
静香の背中をぺちっと叩き
「やーね。趣味じゃないわ!
私だって選ぶ権利はあるわよ?
私は背が高くてガッチリしていて、強面だけど、本当は優しくて笑顔が素敵なギャップの激しい男性じゃなくちゃ萌えないのよ。」
『え?何か…尚ちゃんが当てはまっちゃうけど…』
「ねえ?もしかして趣味似てる?」
「え?あ。旦那は正反対ですけど…」
「そっか。だから、浮気に走っちゃうのよね?」
図星を言われて静香は黙ってしまった。
「まあ、いいわ。私はプライバシーを話したわ。
お酒が入ると人は本音を言うからさ。
そこが楽しみなのよね〰️♪」
そんな会話をしていたら、割烹屋に着いた。
2人は個室の予約席を案内された。
「とても趣のある高級割烹店よね。
高そう~。所長の奢りなんてどうしようかしらね。」
『 もしかして…所長。今日子さんを狙ってるのかしら?』
「絶対ビジネスホテルの場所教えないわ。
静香さん?二次会は2人っきりで居酒屋でも行きましょうね。
所長を巻くのよ!」
やっぱり、単身赴任の男ってそういう下心あるのかしらね?
美人は得だけど、気苦労は絶えないかもね。
相手が機関長だけに交わすのは容易なことでは無いものね。
向こうも1つ間違えば首が飛ぶ。
そして、今日子さんもヘルプから下ろされる。
この世界はコンプラ、セクハラに厳しい会社だから、その狭間で遊ぶのはスリルありすぎるもの。
私は同じ会社の人とは不倫は恐ろしくて出来ないわ💦
でも…今日子さんと趣味は同じ過ぎて怖いわ。
尚ちゃんだけは紹介したくない。
だって…取られそうだもの。尚ちゃんは年上好みだし、見た目私より若く見えるし…
あー。もう、考えないようにしよう!
酔ったらベラベラしゃべってしまいそうだから!
「お待たせ~!おや?まだお酒頼んで無かったのかな?」
料理が運ばれて来て今からと言うときに所長が個室にやって来たのだった。
「多分、6時半過ぎる頃と思っていましたので、近くの喫茶店で時間を調整して予約時間を6時半にしたんですの。
所長の奢りですもの。やっぱり主役が来てからじゃないと、お酒は頼めませんわ。」
気が利いた梁田のセリフに所長もメロメロだ。
「それじゃ、とりあえず生3つでいいかな?」
2人は頷き、生ビールが運ばれて来た。
「岡野さんの歓迎会と梁田さんのヘルプの歓迎会に乾杯♪」
ビールのジョッキーを軽く音を立てて、3人で乾杯した。
梁田は色っぽくぐいぐいとジョッキーを半分飲んだ。
静香も飲み口はあるから、同じに梁田の真似をした。
「2人とも行ける口だね〰️。いいねえ。
奢りがいがある飲みっプリだ。
今、焼酎1本来るからね。何割がいいかな?」
「私はウーロンハイで!」
梁田がすぐに返事をした。
「私は梅割りでお願いします。
あ、あの。梅干し割です。」
「岡野さんは焼酎通だね(笑)私はお湯割りで梅干しを入れるんだ。」
「あ。私もお湯割りでいいです。」
「静香さんっておやじの飲み方ね(笑)」
「え?おやじ?そ、そうですか?
でも、梅干しのお湯割りは悪酔いしないし、美味しいですよ。」
色気ない飲み方なのかな?
そうね。普通はレモンサワーとか、グレープフルーツサワーとかよね?
お湯割りは相手に足されたくないからマイペースで飲めるから好きなんだよね。
「岡野さんと好みがあって良かったよ(笑)」
所長はスタッフに飲み物を注文していた。
テーブルの上には、刺身の盛り合わせや天婦羅が置かれていた。
「今から、すき焼きも来るからな。
ゆっくり飲んで食べような。」
所長はいつもと違うダンディーな男の顔をしていた。
そこに梁田が質問した。
「所長?川井さんのご病気は何ですか?」
ちょっと難しい顔をした所長だった。
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