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553. 飯田とラブホ
それから1:30過ぎに静香の車の窓をたたく音がした。
「静香?寝てるのか?」
いつの間にか静香は運転席の椅子を倒して眠ってしまっていた。
飯田の声で目が覚めた静香は
「尚ちゃん?早かったわね。」
「うん。高速使って来たからな。
静香に会いたくて飛んで来たよ♪(笑)」
静香は飯田の笑顔に誘われるように、車に素早く乗った。
「今日は何処に行く?この間のホテルか?」
露天風呂があった所を言ってるのよね?
あの後大変な目にあったから違う所がいいなあ。
「あそこは多分混んでるから、その近くの赤い屋根のホテルにしようよ。」
静香の返事に同意した飯田は
「うん。わかった。行こう。」
赤い屋根のラブホには2時には着いた。
「へえ~。部屋が中2階になってるんだな。
1階がテレビとソファーとバスルームで
5段の階段を登ると奥にベッドがあるんだ。
ベッドは円柱でウォーターベッドなんだな。
ん?このスイッチは?」
すると音楽が鳴った。
「お?有線か?」
飯田は大好きなB'zの曲にした。
「静香?おいで♪」
ベットの下からスピーカーが振動した。
“fireball“の曲が流れて来た。
飯田はノリノリで曲と一緒に静香を抱き締めた。
「尚ちゃん?お風呂に入らないの?」
「ん。このままB'zの曲でセックスに溺れようよ♪」
凄い振動だ。静香にはちょうとうるさく聞こえる曲だった。
セックスしているときはロックではなくバラードの方がいいなあ。
もう、飯田はB'zの曲に酔いしれて、静香をメチャクチャにしたいくらい心が高ぶっていた。
そのうちにB'zのバラードに切り替わった。
“もう一度キスしたかった“
あ。私の好きな曲。
「ムード満点だな。眠いの忘れてしまうほど。
俺のわがまま聞いてくれてありがとな。
会いたかったんだ。静香。」
飯田は音楽がバラードに切り替わったように、優しく口づけをした。
さっきまでの激しい動きは無くなっていた。
「お風呂に入ろうか。おいで♪」
飯田は静香の手を繋ぎ階段を降りた。
「お!バスルームはフロアーより3段下にあるんだ。
丸い浴槽で虹色に水の色が変わるんだ。
凄い仕掛けだな♪」
浴槽はジェットバス。そして、バスルームにはマットが引いてあり、ムード溢れるさっきのB'zの音楽がバスルームの中にも響いていた。
「スゲーな!ここのオーナーは音楽しながらエッチするのが好きなんだな♪
ソファーでカラオケも出来るって書いてあったよな(笑)
ドンだけだよな〰️。」
夜中だと言うのに、眠気が冴えるホテルだった。
バスルームでエッチを堪能して、ソファーで飯田の歌を聴いて酔いしれていた静香だった。
「静香?憲一のポケベルに終電乗り遅れて同僚とホテルに泊まるってだけ、メールいれとけよ?
母親が心配して病気が悪化しても嫌だからさ。
静香の母親は心配性なんだろ?」
静香は頷いて、憲一にメールをした。
「朝起きたら、憲一が母親に終電乗り遅れて会社の人とビジネスホテルに泊まったんだって!って騒ぐように書いたよ♪」
飯田も頷き
「ん。それでいいな。
なあ?加奈子さんに何か言われたか?」
やはり飯田もずっと気にしていたようだ。
「うん。チーフは今どうしてるって。
多分、誘導尋問だと思って憲一と加奈さんに会いに行って病院に居なかった時に元バイトの人からの話にして、今は大洗のちゃんこ屋で働いているみたいってだけ言ったよ。」
「そっか。その言い方でいいぞ。
加奈子さんと母親と今も繋がりがあるかも知れないしな。」
「ん~。それはどうかな?本当に何も知らなかった顔してたよ。
今まで付き合って来た人と縁を切るように携帯も変えていたし…
加奈さんも本当は辛かったんじゃないかな。
私はその話はもうしないで!って言ってしまったから…
今度一人で来いよとは言われたけど…
2度と行くつもりは無いわ。」
「ん。そうだな。2度と行ってはいけないな。
向こうも2度と会うつもりはなかったはずだしな。
静香も辛いだろうけど…」
「ううん。私は尚ちゃんと引き離されるなら加奈さんとはもう会わないよ。」
「良かった。俺を選んでくれて。
いつか、俺達が一緒になって堂々と出来るときは『お袋の味 かな』の店に2人で行こうか?
きっと加奈子さんはビックリするだろうけどな。
でも…俺達の事を理解してくれるのは、もしかしたら加奈子さんだけかも知れないしな。」
やっぱり、尚ちゃんも加奈さんを何処かで信じているんだよね。
今は会ってはいけない人だけど…
いつかわかってくれる人だから。
2人はいつの間にか眠りについた。
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