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561. 飯田の店に3人で
『なんか…いつも今日子さんのペースに乗せられちゃうわ~。
でも、柏でのヘルパーは後1ヶ月無いのよね?
仕方ないか。尚ちゃんに連絡してみようかな。』
静香は電車の中で飯田にメールをした。
すぐにメールは返ってきた。
『会社の人と3人で来るんだ。
いいよ。話は出来ないかも知れないけど、一度は俺の働いてる店に来て欲しかったから』
え?いいの?
『その代わり、帰りは俺が送って行くから静香は残ってくれよ。
隣の寿司屋で待っててくれるか?
仕事早く切り上げるからさ』
え?またお泊まりコース?
それはちょっと避けたいなあ。
母親の自覚が無いって言われたばかりだし…
『静香のお袋さんに怒られたんだろ?
お泊まりコースは諦めるよ。
帰りの車の中で静香とゆっくり話したいだけだ』
あ。車でね💦そういう事ね。
またすぐに会えると思うと、静香の体は熱くなった。
『これがフェロモンが出てるって事なのかな?』
一人頬を赤く染めながら、飯田とのラブホの事を思い出していた静香だった。
次の日。静香は梁田に大洗の店に行ってもいいという話をした。
「そう。楽しみね♪ありがとう。静香さん。」
「でも、母親があまりいい返事をもらえなくて…」
静香は母親には来月の土曜日に会社の人と3人で食事をすることだけ伝えたが、またかという顔つきで渋々了解を得た。
「それじゃ、お母様にお昼に電話入れるわね。
この間は私が酔ってしまって、静香さんが介抱してくれた為に遅くなってしまい、最終電車に乗り遅れてホテルに泊まってもらったって謝罪するわね。
それで、来月の土曜日はお礼で静香さんとお食事をするので、お母様のご自宅に車で迎えに行きますのでよろしくお願いしますって言えば、完全に信じてくれるでしょ?」
「え?自宅に迎えに来てくれるの?」
「だって、飲んだら運転出来ないでしょ?
彼は運転手だから、飲まないから大丈夫よ。
それに、多分帰りは私達2人で帰ることになるでしょ?」
「え?」
「そんなの無言の了承よね?ヤボな話よ。
お互いにね♪」
梁田はいつもより生き生きと話をしていた。
あ。彼とは久しぶりに会えるって事だから嬉しいんだ。
寝言で泣いてたもんね。
そっか。本命さんだもんね。彼も大洗に行くこと承諾してくれたんだ。
所長が言ってたわね。
別れたくても別れられない女なんだって…
今日子さんはちょっと気が強くてわがままだけど、本当は寂しがり屋で一人にさせられなくてほっとけない女性なんだわ。
かわいくて、綺麗で色っぽいから彼が離れられないんだと思う。
おねだりも上手い人だから。
10月に入り、土曜日がやって来た。
「お母さん?お友達が迎えにくるんでしょ?
お食事6時だから、帰りは遅くなるの?
駄目だよ。酔っぱらってお泊まりしちゃ!」
「大丈夫よ。この間はお母さんは酔っぱらっていません!
お友達が酔っぱらっちゃったの!
遅くなってもちゃんと帰って来るから、心配しないで寝ていてね。
高速に乗って行くから、遠いのよ。水戸の先なの。
とても美味しい新鮮な魚が食べられるんだって。」
‘’大洗‘’というキーワードは出さないことにした。
感が鋭い憲一が
『尚ちゃんのお店に行くの?』
なんて言うに決まっているからだ。
ピンポーン♪
「あ。来たわ。それじゃお母さん。
憲一をよろしくお願いします。」
いつも言わないような言葉を母親に言った。
ガチャ
「静香さん。お迎えに来ました。
お母様。憲一君?
はじめまして。静香さんと一緒にお仕事をしている梁田 今日子っていいます。
この間は酔っぱらってしまって静香さんはご迷惑おかけしてすみませんでした。
今日はお酒は控えますので、お母様、ご心配なさらず寝ていてください。
ちゃんと送り届けますから!」
母親は笑顔で
「お電話でお話した梁田さん?
お綺麗な方ですこと。
静香がいつもお世話になっています。
静香は会社でちゃんとお仕事こなしていますか?」
「やーね。お母さん?大丈夫よ!」
静香は焦って母親に言った。
「はい。静香さんはミス無くテキパキと仕事をこなしていますよ。
入社して3ヶ月とは思えないほど仕事も早いですから、お母様?
心配は無用ですわ。」
「それじゃ、行って来まーす!」
玄関を出ると梁田の彼氏の車が止まっていた。
「うわ~。外車だ〰️!ベンツ?凄い~。」
東京の営業所の所長よね?
結構優績者がいるのかな?
年収1500万はあると見たわ!
「静香さん。2人で後ろに乗りましょ?」
「はじめまして。岡野静香と申します。」
「こぢらごそ。篠崎です。」
津軽弁の訛りとは裏腹に、柏の所長と同じ歳には見えない程、若々しくそれでいて凛としていて、がたいの大きな人という印象の人だった。
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