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562. 梁田の不倫相手との会話
車の中で
「今日は機関長会議が午前中あったみたいだけど、皆とのランチはしないで、帰ってきてくれたの。ね♪」
梁田が彼の肩をポンと軽く叩いた。
「ああ。機関長会議の後のランチはランチで終わらず夕方になるど居酒屋に梯子すっからな。
腹っこにやにやするって言って、けえってきたよ(笑)自由参加だし。」
「え?今なんて?腹っこにやにやって?」
梁田はクスクス笑いながら
「津軽弁でお腹の調子が悪いって事なのよ?」
と、篠崎の津軽弁の翻訳をした。
「今日子。わーは十和田だから、南部だからな。
本当の津軽弁はわーもよくわからんよ。」
「孝雄さんの方言もはじめは何をしゃべっているのかわからなかったわよ?
ホント、方言で話をするから面白い所長って思っていたわよ(笑)」
「わっきゃ2年前までは東北地方さ住んであったからな。
いやー東京っちゃたげ、ゴミゴミすていでおっかねえどごだどはずめは思って、青森さ帰りだぐなったよ。
東京さぎて、すぐにうつ病になった。
まあ、そご助げでけだのが今日子なんだ。」
「私は産休の事務員のヘルパーで1年間お世話になったの。
その間、孝雄さんとはカウンセラーみたいになっていつの間にかどちらともなく互いに惹かれあってしまって…
付き合う仲になっちゃったってわけなの。」
「わぎゃみだいな田舎者ば好ぎになってけで嬉すくて夢のような1年間だった。」
「孝雄さん。私が1年間の任務が終了する日に『これでお別れだよ』なんて言ってね。
突き放されたのよ?
あの時ほど私が誰かにカウンセリングしてもらはないと、生きて行けなかった。
それで…次の営業所のヘルパーに行って…
孝雄さんに似てる所長に関係を持ったの。
そしたらある日、孝雄さんから電話がかかってきて…」
「そうだよ。所長会議のランチで、そいづが今日子はすぐにやらへでくれる女だなんてわーにいうもんだはんで!
こった男さ今日子ばやれねど思ったんだ。」
「嬉しかったわ。今日子を忘れられない。
アパートに来てくれるか?って言われたとき。
やっぱり私は誰よりも孝雄さんが一番相性が合うのよ。
心も体も全てね。」
所長は苦笑いしていただけだった。
多分、俺もだよとは言いたくても言えなかったのだろうと静香は察した。
私の前だし、所長は妻子ある身だからだ。
別れたくても別れられない女。
私から見たら、2人は夫婦にも見える。
飯田といるときに柏の所長が旦那と思ったように…
私と篠崎所長の立場は同じなんだ。
そんな話をしているうちに大洗の街の中をベンツは走っていた。
「うわ~海だわ。海沿いに道があって地平線が見えるのね~。
素敵な所ね~。」
「まだ4時だな。岡野さん?どごが遊ぶ所おべでら?」
おべでら?遊ぶ所知ってるかって事よね?
「大洗水族館が近くにあります。」
「水族館!うわ~。行ってみたいわ♪」
篠崎はナビを大洗水族館にあわせて、ベンツを走らせた。
「5時閉店が。まあ、1時間位あるがら、ちょうどいいな。」
3人は早速、水族館を見て回った。
お客様はあまり居なくて、すいすい歩けた。
静香が先導した形になった。
何度も来ているから、だいたい順路がわかるからだ。
梁田は篠崎と腕を組んで、カップルそのものだった。
「わあ。可愛い綺麗な魚。」
2人は顔をつけ合うような仕草で、1つ1つ小さな水槽を見ていた。
ちょっと静香もイチャイチャぶりが妬けるくらい仲が良かった。
夫婦じゃなくて、恋人同士ね。
尚ちゃんとこんな人気のある所でイチャイチャ出来ないから羨ましいわね。
イチャイチャするのはベッドの上だけだから…
今日は飯田に会える。
静香は早く飯田の所に行きたかった。
店ではなく、飯田の胸に飛び込みたかった。
私…2人の姿に刺激受けてるわよね?
1人で赤面して水槽を見ている静香の背中から、梁田が静香を抱き締めた。
「わっ!」
静香は抱き締められてびっくりした。
「静香さん。私、今日は凄く嬉しいの。
私の片思いだと思っていたから!」
「え?何を言ってるの?
相思相愛のラブラブカップルにしか見えないけど?」
「え?違うわよ。今日は静香さんがいるから孝雄さんが本音を言ってくれたから、嬉しいの♪」
「本音?」
「私が男なんて遊びでいいわって思ったのは一度孝雄さんと別れたときなのよ。
次の営業所の所長と関係したことを所長会議のランチで孝雄さんに話していたなんて知らなかったの。
こんな男に今日子はやらない!って言ってくれたことよ♪
嬉しくて堪らなかった。
本音を聞けたのは静香さんのお陰よ。
ありがとう。」
梁田は静香の襟元を嗅いだ。
「今日のフェロモンは凄いわね。
彼氏に会えるから、ムンムンしてる♪
もう、濡れてるでしょ?」
その一言で咄嗟に静香は梁田から離れた。
「見抜かれた?って顔ね(笑)」
「もう!今日子さん?所長の前で!」
「孝雄さんは煙草を吸いに行ったわ。
居ないから、私も本音を言ったのよ♪
私ももう、濡れてるから同じだと思って♪」
もう。今日子さんって男の人みたいに、下ネタ言うんだから!
「静香さんってホント!可愛い女ね。
私が男だったら抱き締めたら手はアソコに触れて、今からホテルに行こうか?って言ってるわね♪」
「き、今日子さん?」
「フフフ。もう、食べちゃうたいほど可愛い女ね♪」
今日子さんが一瞬レズビアンに見えた静香だった。
5時になり、3人は飯田の働く店に向かった。
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