566. 梁田と2人でランチ

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566. 梁田と2人でランチ

月曜日。今日からまた一週間が始まる。 静香は清々しい気持ちで会社に向かった。 昨日の日曜日に家族とイオンモールに行ったときに梁田と篠崎所長にお礼のプレゼントを買って来たのだった。 梁田には貰ったイヤリングのお礼で、篠崎所長にはご馳走になったお礼にペアのキーホルダーを買った。 手作りの革細工のおしゃれなキーホルダー。 『気に入ってくれるといいな♪』 静香は会社のオフィスのドアを開けた。 「おはよう♪静香さん。」 梁田はもう来ていて自分の椅子に座っていた。 「おはようございます。」 梁田と所長にも挨拶をした。 静香が自分の机に紙袋を置いた。 「今日子さん。イヤリングのお礼にペアのキーホルダーを買ってきたの。 片方は彼氏にあげてね。」 梁田に紙袋を差し出すと、笑顔で受け取ってくれた。 「ありがとう♪静香さん。土曜日の事は誰にも内緒ね。」 そんなことはわかっている。黙って頷く静香だった。 11時半になった。所長が 「私は1時にお客様と食事をする約束をしたから、留守番引き受けるよ。 2人でランチに行っておいで。」 2人は笑顔でランチに出掛けた。 話したい事が山ほどあったのだ。 ファミレスに入りレディースランチを頼むと 梁田が彼との話をしたくて、ウズウズしていたのだ。 「私達初めてモーテルって言う一戸建てのラブホに行って大はしゃぎしちゃった♪」 「え?初めて?」 「孝雄さんなんて、『生まれてはじめてモーテルに入った~』なんて言ってね(笑) 孝雄さんとは、どちらかのアパートでだったから、ホテルって名の付く場所に行くことは無かったのよ。 だって、東京なんて広いようで狭いでしょ? ビル型のラブホだから、入るときや出るときに誰かに見られるかも知れないでしょ? 孝雄さんはそれを気にしていたから… 今の奥さんも大学の同級生同士みたいで、卒業するとできちゃった婚だったんですって。 だから、物珍しくて2人ではしゃいじゃったの。 丸い回転ベッドなんて初めて寝たわ。 懐かしいインベーダーゲームがテーブルになってて、カラオケも出来て、バスルームも7色に光るジェットバスで、露天風呂まであるのよ♪ もう、子供に帰っちゃって、2人で笑っちゃったわ。 楽しいセックス三昧よ♪」 わ。セックス三昧?何をどうしたの? 今日子さんってホント!男の子みたい(笑) 「静香さん達は何処のラブホに行ったの?」 「え?あ。それが… 隣の寿司屋に入ろうとしたら、彼と一緒にアパートに暮らす私と共通の友達とばったり会っちゃって… その友達は釣り仲間の人だから、釣りの話で盛り上がっちゃって、3人で11時まで居たのよ。 だから、海の見える場所で車の中でお話ししてた。」 「お話?ちがうでしょ? カーセックスよね? だって午前1時に帰って来たんなら1時間は海を見る時間があったもの♪違う?(笑)」 カーセッ…もう!ハッキリ言わないでよ〰️。 周りの人に聞こえちゃうよ。 静香は赤面して下を向いた。 「静香さんって、やることやるのに赤くなっちゃって。 可愛いわね。 だけど、釣りが趣味だったなんて知らなかったわ。」 「う…ん。彼が釣りキチだったから… 息子を連れて海釣りしていたのよ。」 独身の時の彼氏(山口)の事は話さなかった。 また、勘違いされるからだ。 今の旦那は幼馴染みでずっと付き合って結婚した話になっているから、面倒臭かった。 昔から浮気性だったのね!なんてレッテルも張られたくなかったのだ。 「あら。憲ちゃんと仲がいいの? それじゃ、お互い将来は一緒になる気満々ね♪ いいわね~。孝雄さんもその気になってくれないかな~。 今、長男が大学1年生なのよ。卒業したら、今度は次男が大学行くから… 孝雄さんはそれどころじゃないみたいなのよね。」 うわー。大学生の息子さんがいるの? 年収1500万以上あるから、余裕でベンツ乗って、不倫もできるのかなあ。 絶対に今日子さんと出来てるなんて噂されたら、飛ばされるから年収下がったらやってられないものね。 所長も必死よね。 でも…今の奥さんと別れて… また、今日子さんと一緒になって… 子育てする事なんて男の所長にはそこまでの覚悟は無いと思うんだけど… こんなこと今日子さんには言えないわよね。 「静香さん。キーホルダーありがとう。 孝雄さんのマンションの合鍵と私のアパートの合鍵を入れておくわね♪ このキーホルダーって2つ合わせないと何の絵だかわからないのね。 合わせるとハートになるのね。 彫りがこってて素敵ね♪」 「気に入ってくれて良かったわ。」 それから2人はランチ時間ギリギリまで、話して会社に戻って行った。
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