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568. 旦那のバレーボール大会に行く静香達
「え〰️!お父さんのバレーボール試合を観に行けるの?わ〰️い♪」
帰ってきた静香は開口一番、憲一にその事を話した。
「でも、明日は道場に行くんでしょ?」
憲一は笑いながら
「お母さん?明日は金曜日だよ?
空手の日は土曜日の午前中。
だから、明日は無いんだよ?
僕も行くから連れて行ってね。
あの綺麗なお姉さんと一緒なの?」
「電車で行くことになってるのよ。
向こうは東京から直接千葉駅に行くから、デパートで待ち合わせよ。
秋葉原駅から山手線に乗り換えて東京駅に行って、総武線で千葉駅まで行くから、家を6時には出るわよ?」
(あの頃は常磐線は上野駅が終点だった)
「わ〰️い。それじゃお弁当持って行くの?」
「今日子さんがお弁当はデパートで買おうって言うのよ。
色んな駅弁が売ってるんですって。
お父さんは向こうでチームの分は頼んであるから何も持って来なくていいよって!」
「お母さん。良かったね。
釣りに行くみたいにお弁当いっぱい作って持って行かなくって♪」
「あれは車だったから、持って行けたけど電車であんなに持って行ったら途中で重くて捨てたくなっちゃうわよ。」
「そうだね。お母さんならやりそうだよ(笑)
明日、早いから早く寝ようね。
みよばあ。1人でお留守番だけど、ゆっくりしていてね?」
「そうね。明日はお昼ご飯食べたらお昼寝してるわ。
久しぶりに静な1日ね。」
静香は到底、静な1日に程遠い1日になりそうな予感しかしなかったのだった。
次の日。朝6時に家を出た。
「気をつけてね。行っていらっしゃい。」
「みよばあ。行ってきま~す!」
2人は元気に家を出た。
久しぶりの電車の旅に憲一は終始笑顔だった。
千葉駅に着くと改札口で梁田が待っていてくれた。
「憲ちゃん。おはよう♪私の事は今日子って呼んでね♪」
うわ~。本当、今日子さんって誰にでもフレンドリーな性格をしてるわね。
「うん。それじゃ今日子お姉さんって呼ぶね♪」
「わあ♪嬉しい。今日子おばさんって言われるかと思っちゃったから。」
「綺麗な女の人は皆お姉さんだもん♪」
え?どこでそんな事覚えたの?
静香は我が子の言葉に耳を疑った。
「うわ~。嬉しい。
憲ちゃんとお付き合いしちゃおうかな。」
手を繋いで駅弁コーナーを歩く2人の後ろ姿を見ながら、これから始まる岡野家ファミリーと梁田との付き合いに不安を覚える静香だった。
憲一と仲良くなって、何か聞き出そうとしている作戦にしか見えなかったのだ。
「お母さん?今日子お姉ちゃんが駅弁を買ってくれるんだって♪」
「え?いいわよ。今日子さん?自分達の分は支払うから。」
「駄目よ。私のわがままでここまで来てもらったんだから。
交通費の代わりよ♪」
うなぎ弁当を3つかかえていた。
「静香さんってうなぎに目が無いんですってね。
私も好きなの。だから、浜松駅弁のうなぎ弁当でいいわよね?」
「え?高いのに?悪いわよ。」
「交通費はこんなもんじゃないでしょ?
いいのよ。私はお金の使い道が無いんだから♪」
うわ~。嘘でも言ってみたい言葉よね〰️。
梁田はうなぎ弁当を4つも買った。
「あの。旦那は向こうでお昼は出るから3つでいいのよ?」
「やあね。3人で4つ食べるのよ。
憲ちゃんがお母さんは好きなものは大食いになるって聞いたわよ?」
全く憲一は余計な事を!
静香は目で憲一に物を言う。
「だって、本当の事だもん!」
梁田の手を繋いだまま静香に言い放った。
これ以上、私の話はしないで欲しいよ!
「憲一?変なことを話さなくていいからね!」
「え?お母さんはへましかしたこと無いから、何から話していいかわからないから大丈夫だよ?」
「え?何よ!その言い方!全くもう!」
梁田はケラケラ笑いながら、憲一と何やら話していた。
梁田に憲一を会わせたのは間違いだったと気が付いたが、すでに遅しだった。
千葉市のバレーボール大会の会場に着いた。
タクシーに乗ったらすぐに着いたのだ。
「歩いても行けたかしらね?」
旦那が静香達に気が付いて、かけてきてくれた。
「お父さんのバレー見に来たよ♪」
旦那は憲一の頭を撫でながら
「はじめまして。昨日は電話でどうも。」
「はじめまして。梁田です。今日は無理繰りでごめんなさいね。」
「いえいえ。一度は家族に見せたかったバレーボール試合ですから。
結構練習して、強くなったんですよ。
静香?千葉駅からモノレールで来たの?」
「え?モノレール?そうなんだ。
場所がよく分からなかったから、タクシーで来たのよ。」
「そっか。車ならナビ付いてるけど、電車じゃな。詳しく言わなかった俺も悪いな。」
あの頃は携帯にナビ機能なんて付いてなかった。
「優しくて素敵な旦那様ね。
静香さんって羨ましいわ♪」
意味ありげな言葉よね?
静香は黙って微笑んだ。
「今日は9時に試合が始まるけど、トーナメントだから負けたら帰るんだ。
負けたら打ち上げはバーベキュー会場に行って、お弁当だけをそこで食べるんだ(笑)
勝ったら、午後から第2試合になる。
そしたら、打ち上げは夕方本当のバーベキュー大会になるんだ。
第2試合に勝ったら、日曜日に準決勝進出だ。
まあ、今日は勝てる気がするけどな。
応援よろしくね。」
「頑張ってくださいね。」
「お父さん、頑張ってね。応援してるよ!」
旦那は憲一の頭をくしゃくしゃにして、その場を後にした。
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