569. チームの叶える夢とは?

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569. チームの叶える夢とは?

9時になった。開会式が始まり、選手宣誓を選手が言った。 旦那のチームは『レッドライオン』 相手チームは『ビッグシャーク』 なんだか、チーム名だけ聞くと、どちらも強そうなチームに聞こえる。 選手達がゾロゾロと歩いてネットの前に並んだ。 「あ!お父さんはセッターなんだ。 カッコいいね。キャプテンだったんだ~♪」 「そうなの?セッターってキャプテンなの?」 「静香さんはセッターの役目をあまり知らないの?」 「うん。私は球技は得意では無かったから…体操部だったの。」 「あら、そうなの?だから静香さんは体が柔らかいのね? 憲ちゃんは空手習ってるし、岡野家ファミリーは運動神経がいいのね♪ バレーのセッターってね。コミュニケーション能力がずば抜けていないと出来ないのよ。」 「え?そうなの?」 「セッターには正確な判断が求められるの。 試合の流れを見極めるための冷静さが求めらるのよ。 セッターが熱くなってしまいプレーが雑になるとゲームメイクは愚か、正確なトスが上げられず、良い攻めが展開できなくなってしまうのよ。 加えて、セッターにはチームが不調であっても諦めない、常に前向きなことが求められわ。 そして味方に指示を出し、チームの勝利につなげるためのリーダーシップもセッターには必要となるの。 だから、必然とセッターがキャプテンになることが多いわね。 実は私もセッターだったのよ。 かけ声だけは元気な人間だったの。 まあ、強いチームじゃなかったけど… それなりに楽しい高校生活を送れたわね♪ 1年生の時は先輩になぜか目をつけられて、辞めたいと思うときが多かったけど… 3年間頑張って良かったと思っているわ。 だから、バレーの経験が長い旦那さんは立派なセッターのキャプテンね。 心の読める旦那さんで静香さんが本当に羨ましいわ。 2人は後悔する人生を送って欲しくないなあ。」 意味ありげな言葉を梁田に言われた。 「だけど…静香さんはどっちも居ないと困るのよね。 孝雄さんと同じね…」 「今日子さん…」 静香は言葉が詰まってしまった。 「お父さん~!がんばれー!!」 憲一の声で静香達は試合に振り向いた。 1セット15点 まだ第一試合だ。 13対14 ビッグシャークが優先だった。 「ドンマイドンマイ!いつものチームに戻って!落ち着けば勝てるぞ!」 旦那が大声でチームに呼びかけていた。 最後に来て、サーブがアウトになって1点取られてしまったのだ。 サーブ権が相手チームになってしまった。 旦那が回転レシーブでボールをキャッチ。 「お父さん!かっこいいよ!」 トスに繋げたが、スパイクが失敗して、第一試合は負けてしまった。 「ドンマイドンマイ!次は締めていこう! 大丈夫大丈夫!第二試合は焦らず行こう! 俺達の夢を叶える為に次は勝つぞ〰️!!」 「ファイト!オウ!!」 静香達もいつの間にか手に汗握る試合に、応援に力が入っていった。 第二試合と第三試合はレッドライオンチームが勝った。 「キャプテン♪さすがですね。皆の焦りを一言で団結に導いてしまったんですから!」 「俺達の夢を叶える為に勝つ! ですよね〰️♪」 笑顔でチームは団結力で勝って各々が誇らしく見えた静香だった。 よっちゃんの夢って何かしら? 「お父さん!カッコ良かったよ~♪ ねえ?お父さんの夢ってなあに?」 憲一は旦那のチームの中に駆け寄った。 「ああ。お父さんの会社を皆の団結力でもう一度茨城に工場を再建したいってのが強い願いなんだよ。 バブルが弾けて、会社もどんどん小さくなって…でも、お父さんは必ず地元に戻りたいから、団結力で会社を大きくしていこう! まずはバレーボールのチームから団結力を広げて行こう!ってのが夢なんだよ。 憲一。待っててくれよな。絶対5年未満に帰るからな!」 「うん!僕お父さんとみよばあとお母さんと4人一緒に暮らすのを夢見てるね♪」 「憲ちゃん!2回戦も勝つから勝ったら、一緒にバーベキューしようぜ!」 チームメンバーの一人が憲一に言った。 「え?一緒に?お母さん達も?」 「いや、バーベキューは憲一なら子供だから、どうにかなるけど…」 旦那が困った顔をしていた。 「憲ちゃんだけお父さんの所に泊まればいいよ。 もう、大きいんだから、大丈夫だろ?」 憲一は静香の所に行って聞くことにした。 「聞こえていたわ。下着と服はお父さんの社宅に2泊分はあったわよね? いいんじゃない。帰りは電車で帰って来られる?」 「うん!お父さんに駅まで乗せてきてもらえば、もう、わかるよ♪」 そう言うことで、憲一を旦那に任せた。 「静香。もし、昼からの試合が負けたら、ご苦労さん会だから明日憲一とそっちに帰るよ。 勝ったら、日曜日が準決勝、決勝と行くから憲一を駅に連れて行くとき連絡するよ♪」 「わかったわ。頑張って勝ってね♪」 旦那は帰って来ない方がいいから、静香はそう答えた。
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