573. 終始笑顔の2人

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573. 終始笑顔の2人

何事をなく、平日が過ぎた。 静香も梁田も金曜日の朝からルンルンだった。 「2人で今夜は女子会かな?」 所長が2人の笑顔を見て、そう感じた事を口にした。 「ふふふ。そうかも♪ご想像におまかせします♪」 梁田は週末に彼氏と1泊2日の旅行に行けるようだ。 この1週間、彼氏と旅先の話を煮詰めていたみたいだった。 静香も明日の飯田とのデートにウキウキしていた。 「ね?静香さん。帰りに1時間位お茶していかない? パンケーキの美味しいお店見つけたの♪ 静香さんに相談もあるのよ。」 静香は時計を見ながら 「いいわよ。6:50の電車に乗るからそれまでね♪」 今日は残業もなく、2人は5時半で退社できた。 「所長。それではお先に失礼します!」 「ああ。2人とも良い週末をな♪」 2人はパンケーキの美味しい喫茶店に向かった。 梁田は静香の腕を組んで歩いた。 「今夜は彼のマンションに泊まるの♪ 先にマンションに行って部屋を暖めて夕ごはんを作って待ってるのよ♪ なんだか新婚気分なの♪これも静香さんのお陰よ♪」 「え?私の?私は何もしてないわよ?」 「ふふふ。この間3人で大洗の静香さんの彼氏の勤めるちゃんこやに行ったじゃない? 帰りにラブホに行って楽しい一夜を過ごしたあの日よ。 あの時、孝雄さんの本音が聞けて… 本当に嬉しかったの。 あれから2人の愛が深まったの。 静香さんが居なかったら大洗までちゃんこや食べに行かなかったし、孝雄さんの本音も聞けなかったわ。 だから、静香さんのお陰よ♪」 そうなの?この間旦那のバレーボールの試合の帰り将来を考えて泣いていたわよね? 所長が青森に帰っちゃったら、奥さんの所に戻ってしまったら生きていけないみたいな事を言って… 私にも追及してたわよね? 今日子さんは多分…いつも所長とべったりしていないと不安になって、情緒不安定になるのかな? 多分、そうよね? 今夜会えるから、ウキウキしているのよね? 「あ。ここよ♪」 2人はパンケーキの美味しい喫茶店のドアを開けた。 「いらっしゃいませ~♪」 店内はハロウィン一色に染まっていた。 「わあ。素敵。可愛いわね。 いい時に来たかもね♪あら?このかぼちゃのお化けは置物になってるのね。 ランプになるんだわ。値段が書いてある。」 「お客様?こちらに飾ってあるハロウィングッズはお買い求め出来ますからお手に取ってご覧くださいませ。」 梁田は所長の部屋をハロウィングッズでサプライズしたいようで幾つか購入していた。 「静香さんにも買ってあげるわね。 はい。かぼちゃのランプ♪ 憲ちゃんの手が早く治りますように。 私からのお見舞いね♪」 「え?ありがとう♪憲一が喜ぶわ。」 梁田の心は満面の笑みでいっぱいだった。 静香も同じ気持ちだった。 「お待たせしました。 当店自慢のパンケーキです♪ 今月のみのハロウィンパンケーキをお召し上がりくださいね。」 「わあ。いつものパンケーキにかぼちゃの形のチョコレートが乗っかってるわ。」 ふわふわのパンケーキに生クリームが沢山乗っていて、その上にチョコレートのかぼちゃが飾ってあった。 2人は子供に返ったようにパンケーキを頬張った。 「静香さん。相談なんだけど、私達沖縄に旅行することに決めたの。 それでね。羽田空港に行く間に誰かに見られるといけないから空港で待ち合わせなの。 でね。もし、誰かに私を見かけられたりしたら静香さんと空港で待ち合わせと言うことにして欲しいの。」 「え?うん。いいわよ。私もその方が都合いいわ。 母親に今日子さんの所に行くって堂々としていられるわ。」 「静香さんも彼氏と旅行?」 「う…ん。お泊まりはちょっと出来ないから日帰りなの。 一応私も東京の今日子さんの所に行くとは言ったから、私も話を合わせて貰おうと思っていた所よ。 良かったわ。偽造話成立ね。」 「了承。良い友達が出来て本当に良かったわ。 私も途中、会社の人に見られても堂々と言えるから良かった。」 パンケーキを食べ終えると、2人の心はスキップしながら駅に向かった。 「それじゃね。楽しい週末をね。」 2人は終始笑顔で別れた。 家に帰って、憲一に梁田に貰ったかぼちゃのランプを渡した。 包帯の取れた左手の傷はまだ残っていたが、両手で持つかぼちゃのランプを台所のテーブルの上に置いて火を灯す。 途中でコンビニに寄って買ってきたパンプキンプリンをデザートとして食べた。 明日は飯田に会える。 静香はそれだけで終始笑顔でいられたのだった。
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