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「いや、だから私は…」
「サイボーグじゃないんだし、ずっと完璧に仕事するなんて、無理ですよね~」
…近頃淳也の様子がおかしいことは、誰の目から見ても明白だった。
そこへきてこんな単純ミスを犯してしまうほど淳也を悩ませていることとは何なのか、と問い糺そうとする部長の先読みをした女性社員が、
『余計なこと、言わないでください!』
と牽制するように、口を開きかけた部長へ話しかけた。
(…情けない)
仕事でミスした自分のために、言葉を尽くしてくれる同僚の声が…海馬を上滑りして行く。
こうなってしまったのは、全部自分のせい。
そうと分かっているのに…何もできていない自分が情けなくて、泣きたくなる。
「…もうっ!」
「これだから、空気が読めないって言われるのよ、部長はっ」
色のない顔を更に蒼くさせ、立ち竦む淳也に聞こえない声で、この場に居合わせた女性たちが囁き合う。
──私生活がまるで見えないほど、ストイックな生き方ををしているような人。
それが柏木淳也という人を知る誰しもの認識であり、それは日常生活にも滲み出て見えていた。
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