青天の霹靂(へきれき)

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「監査役を助け出した後、私たちは高野須に捕まってしまいました。それを救ってくれたのはモチズリ建築の関係者でした。あの念書を取り戻してくれたのも彼らです」 「美智さんがモチズリ建築に足を運んで作り上げた人脈ね」 美智は人脈という考え方が好きではなかった。それを好む者たちがしばしば社会の公平性を乱し、一部の者だけで利権を独占しようとするからだ。結果、多くの女たちが社会の片隅に追いやられてきた。瑞穂も男たちの人脈と戦ってきたはずだが……。とはいえ、複雑な心境を語っても仕方がないと思った。ビジネスマンの彼女には、人脈という考え方がしっくりくるのだろう。 「そう思っていただいて結構です」 「でもそれなら、ますますモチズリと高野須が繫がっている可能性があると思わない? 美智さんが監禁されていると知っていたのは、高野須の関係者だけでしょ?」 「私を助け出してくれた人たちは、高野須側から情報を得たのではなく、これのGPS情報を追っかけていたのだと思います」 美智は自分のスマホを示した。
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