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「もしかしたら、美智さんはストーカー被害にあっているのかしら?」
「あっ、いえ、そういうわけではありません……」
今の話を聞いたら、猫沢老人が腰を抜かしているかもしれない。……苦笑がこぼれた。
「……とにかく、高野須の影響力を抑えながら不正をただす方法を取るべきだと思います」
「それは佐久間さんの言う通りだけど……。そんなうまい方法がある?」
「坂下社長に賭けてみるというのはどうでしょうか?」
「賭ける?……美智さんらしくないと思うけど、どういうこと?」
「高野須は、山一さんを傀儡にしてNOMURA建設から金を引き出すつもりです」
「そうね。私もそう思うわ」瑞穂が深くうなずいた。
「でも、坂下社長は優秀な経営者です。今は合併に向けて静観しているようですが、彼女なら高野須にも対抗できると思います。新しい役員陣が結束して隙を見せなければ、高野須の意見に左右されない経営体制が築けます」
「坂下社長が優秀なのは、私も認めるけれど……」
瑞穂が眉間に皺を寄せた。
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