第四章 スゴ腕研修生

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第四章 スゴ腕研修生

初日から張り切っている大迫は、 一番乗りのハルカさんの次に店に入り、 何も言われないうちから清掃のやり方を聞いて、店を磨き上げている。 アキヒトが出社したときには もう完璧に掃除は完了していた。 「すげえ。やるな。」 アキヒトが思わずつぶやくと、大迫は 「当然だ。」と言う。 「勉強しに来てるんだ。当たり前だろ。」 言われてムッとするが、技術職の世界では当たり前の心構えだ。 アキヒトも気を引き締めないと、と思い直した。 彼の働きぶりには皆感心したようで、 店のメンバーも最初は遠巻きに見ていたが、少しずつ心を開いて 話しかけたりしているようだ。 肝心の先生とハルカさんは、 ここのところ支店の打ち合わせが続いているせいで、 ゆっくり寝たり食事をしたりしている暇も無いようだ。 こんな時によく働いてくれている大迫の存在は 店にとってありがたいものだった。
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