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明日の試合、絶対に負けられないんです!
だからどうかよろしくお願いします!
近くの神社で、私は手を合わせて一心不乱に必勝祈願をした。
その時、どこからともなく声が聞こえてきた!
(その願い、確かに聞き届けた)
え!? 何これ!? 誰!?
(落ち着けい。我は軍神じゃ)
軍神!? じゃ、じゃあ、明日の試合は勝ち……!
(否、そうとは限らんぞ)
え!? でもあなた今自分のこと軍神って……?
(落ち着けい。よく考えてみろ。全国でどれくらいの人間が同じお願いをしていると思う?)
それは……まあ、たくさんいると思うけど……。
(じゃろう? それを全て叶えてしまったら、全員が優勝してしまうという摩訶不思議な事態になるのは自明の理。故に)
故に?
(我々神は一切の手出しをしない)
……つまり?
(勝つも負けるも、実力次第という事じゃ)
……あ、そうですか。
(故に。神に祈ってくれるのは有り難いが、今はチームの下に戻り、マネージャーとしての本分を発揮し、練習を手伝うのが良かろう)
……そうですね。はい! わかりました! そうします! ……あ、最後に一ついいですか?
(何じゃ?)
何で急に声掛けてくれたんですか?
(それはまあ、我はこの地域の軍神だし、地元のチームに勝って欲しいというか、何というか……力は貸せぬが、口出しくらいはしておこうと思ったわけじゃ)
え、それいいんですか?
(ギリセーフと言ったところじゃ。故にチームメイトにこの話をしてはいかんぞ)
あ、はい。ナイショにしときます。
(うむ。……まあそういうわけじゃから、明日の試合、我も応援してるから頑張るんじゃぞ)
はい! 頑張ります!
神様の力は借りれないけれども、どこも条件は同じで、運なんてなくて「実力勝負なら何とかなるでしょ」と思える自分のポジティブさに感心しつつ、私は貴重な話をしてくれた軍神様に深々とお辞儀をして、明日の試合の為にチームの下へと走って帰ったのだった。
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