このBEATに乗せて

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とりあえず練習再開。 三人で意見を出し合い、形にして行く。 どんどん形になって行く曲を聴きながら、音楽は気持ちを結ぶ大切な物だと感じる。 最高の時間だ。 「俺は早く告白しちゃえって思ってるよ」 「!?」 唐突に、こちらを見ないで呟く流星。 ギターを鳴らし続ける横顔からは、表情を窺うことは出来ない。 「お前がそんなになるなら、怜のことなんてほっといて正直になれ」 そう言って真っ直ぐ俺を見る。 前髪の隙間から覗く目が、いつになく力強い眼差しに感じられた。 「俺もそう思うな 好きになったら止められんやろ、普通」 大翔も俺の気持ちに気付いていたようだ。 俺ってそんなに分かり易いのか… 「ほんまによく我慢してると思う」 「まぁ、我慢の限界やから、こんなに情緒不安定なんやろうけどな」 俺の気持ちを他所に、二人の会話は進んで行く。 「二人とも、俺の気持ち…」 「当たり前やろ?! 気付かん方が変や」 「これを我慢させてる怜は、かなりのドSやな」 そう言って笑う二人。 「いや、でも、これは怜くんと俺の約束やけん」 「変なとこ律儀やな、まぁ、俺は輝人がいいならそれでいいんやけど」 「いや、でも我慢するなら平常心を保て! こっちが気を使うやろ」 二人の意見は最もだ。 情緒不安定になって、気を使わせていた事を心底反省する。 「とりあえず、次のライブが成功するまでは怜くんとの約束は守るけん」 こんなに二人に気を使わせてしまっていた事が、予想外に俺の気持ちを応援してくれている事が嬉しくて、二人を絶対に裏切れないって思った。 もちろん怜くんのことも… だから、バンドも恋も必ず成功させてやるって、そんな風に強く思ったんだ。
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