このBEATに乗せて

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練習終わりはいつものコンビニに向かう。 もともと大好きなコンビニだけど、最近は特に俺の心を躍らせる場所。 もうすぐGW。 だんだんと暖かくなって、夜風が気持ちいい。 練習終わりな事もあって、火照った体を冷ますべく、怜くんとアイスをかじりながらコンビニを後にする。 俺は後ろ髪を引かれる気持ちを抑えながら、怜くんの横に並んで歩いた。 今日は会えなかったな。 そんな日もあるか…と、自分に言い聞かせるしかない。 だって、待ち合わせしてる訳じゃないし、ましてや付き合ってる訳でもないんだ。 連絡先さえ知らない。 ただ、このコンビニの前で、会ったら話をするだけ。 「はぁ」 思わず出てしまった溜息。 「輝人、次の新曲のオケできてんの?」 俺の溜息の原因を知ってか知らずか投げかけられた質問。 「あぁ、もうちょっとやね」 「歌詞のイメージ作りたいし、早めに頼むわ」 「うん、わかった 今日中に頑張る」 違う事を考えながら、気持ちが入らない返事をしてしまう。 考え事をしたり、不機嫌な時の俺は、顎に力が入ってしまう。 そんな癖を知っている怜くんが、顔を覗き込んで笑っている。 なにか企んでいる、いたずらっ子のような顔。
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