このBEATに乗せて

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昨日の舞衣ちゃんが元気なかった事を思い出し、お店に会いに行こうと思ったけど、こんな気持ちの時に会いに行ったら、冷静さを保っていられないような気がしてやめた。 少し一人で考える時間が出来た事で、落ち着きを取り戻す事が出来た。 本当に、最近の俺はどうかしてる。 自分でもわかるくらいに、恋に溺れている事を自覚する。 さっきの流星の一言が、的を射る言葉だった事に困惑してしまうくらい、気持ちをコントロール出来なくなっている。 ダメだな俺は…とにかく流星に謝らなくてはならないと、反省しながらスタジオに戻ることにした。 ガチャ 「よぉ 輝人」 いつもと変わらない態度の流星。 俺だけが怒って、ジタバタしていたのかと思うと恥ずかしくなった。 「さっきは、ごっ、ごめん」 「ん? 俺は別に怒ってないで 輝人がひとりでイラついてるだけやろ」 そうだ。 流星はいつも冷静に人を見ている。 恋に振り回されて、周りを乱してるのは俺の方だと気付かされる。 「とりあえず、新曲のオケ持って来たけん、合わせとく?」 そう言って俺は、PCを操作する。 「あぁ、そやな、細かいフレーズとか決めなあかんしな」 「おい!俺もいるの忘れんといて!」 なにがあっても、こうやっていつもの関係に戻れる。 俺を受け止めてくれる二人は、最高の友人だと改めて気付く。 「ありがとう、流星」 「んあ? なんか言ったか?」 「いや、なんでもない…」 面と向かってなんか恥ずかしくて言えないけど…ちゃんと感謝してる。
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