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「香鈴様は、まだ処女でらっしゃるのでしょう?つまり、殿方と交わう快楽をご存知ないのよね?」
可哀想にね、と。心底同情したような声を出す女。
「まだ女の悦びも知らないうちに……子袋をダメにされてしまうだなんて。本当に可哀想。ふふ、貴女も女官であるならば、これを使った責めはご存知かしら?緑蘭様はなかなかこれでお悦びになっていた様子ですし」
「……」
「でも、緑蘭様は、あくまでお后様であって……愛の営みの延長線上で行っていたもの。しかも、緑蘭様は被虐趣味をお持ちでしたから問題なかったのよ。……普通の女子が、手加減もされずに抉られたら耐えられるはずがない……場合によっては二度と子を産めない身体になることも珍しくない、そうでしょう?」
「…………」
余計なことなど、何も言う必要がない。身体はすっかり疲弊していたが、折れてやる気は微塵もなかった。自分はただ耐え続けて、紅帝にその意思の強さと、藍蘭への忠誠を見せつけてやることしかないのだから。
――子供が産めなくなるなんて、それは普通相当な悲劇なんだろうけども。
どうでもいい、と思ってしまった自分は相当毒されているかもしれない。
むしろその方がいいかもしれない、とさえ考えているほどだ。自分が心を捧げた相手は、この世界ではただ一人。藍蘭だけなのだから。彼女との間に子を作れない以上、そのようなもの無用の長物に過ぎないのである。
なんて、そんなことをわざわざ口にしてやるつもりもないけれど。
「あぐっ!」
そして、そんな香鈴の態度に機嫌を損ねたのか、尋問官は一気に香鈴の足の間、一度も使われたことのない淡い色の花びらに手を添えて、一気に指を突き入れた。それも二本同時に、である。処女の香鈴にとってはそれだけで十分に苦痛だった。何かが破けるような音とともに、どろり、と血が溢れ出す。指だけで、膜が破れてしまったということらしい。そういえば、全ての世界においって、自分は極端に男性と交わった数が少ないな、と気づいて香鈴は内心苦笑した。
自分が男性で藍蘭=クシルも男性で、関係を持ったことならないわけでもないけれど。何故だかその場合も自分は男役を担いがちである。不思議なことだ、一番最初の世界では自分が女で、かの人が男であったはずだというのに。
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