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「おお、行こうぞ。共に、極楽へ……!」
男は情け容赦もなく、一気にその巨大なものを藍蘭の中に突き入れた。
「あ、ああああああああああああああっ!あ、ああ!」
欲しくてたまらなかったもので満たされる快感。入れられただけで、股間から恐ろしいまでの快楽が突き上げ、頂点を極めてしまった。しつこすぎる前戯のせいもあるが、それがあったとしてもやはり自分は淫婦なのではないだろうか。嫌いな男に体を許し、ここまで快楽に溺れてしまうなど、女としてこれほどまでに恥ずべきことがあっていいのか。
男はぐりぐりと先端で、子を産み疲れきっているはずの藍蘭の子袋を責め立てる。己の胎が、種を欲しがってちゅうちゅうと吸い付く様まで感じ取れてしまう。もう孕みたくはないのに、孕まなければ自分に居場所はないのだ。用済みになった后がどうなるかなど、考えただけで恐ろしい。――藍蘭の眼に、快楽だけではない涙が浮かび、そっと頬を伝い落ちる。
「前の子は無念であった……お前の胎はいつもすぐ子を宿してはくれるが、三人連続で女子とは思いもよらなかったからな」
藍蘭を気遣うこともなく、ひたすら自分の欲望のまま腰を打ち付ける男。無理やり捻じ曲げられる関節がぎしぎしと音を立てて軋むのに、突き入れられた股からは途方もないほどの快感ばかりが突き上げるのだ。
脳が真っ白に染まる。何も考えられなくなる。そんな己のなんと惨めで、虚しい人生であることか。
――私が、生きるのは……こんな男に人生を捧げるためではない。こんな男の子を産む道具になるためでは断じてない。私は……!
望みは、ただ一つ。
いつか、本当に己が愛し――愛される運命の相手を見つけること。
それさえ叶えば、こんな汚れた人生などすぐにでも放り投げてしまえるというのに。
「孕め……男子を孕め。私の世継ぎを孕むのだ、藍蘭……!」
紅帝は呪うように言いながら、藍蘭の左の下腹部と右の下腹部に、それぞれぐいぐいと指を押し当てる。そこにある卵に言い聞かせるかのように。それがまた気持ち良いと感じてしまって、藍蘭は喘ぎとともに自己嫌悪を吐き出すのである。
「ああ、おやめになってくださいっあ、ああ、あんっ!ひいい!」
煌びやかな監獄に、朝など到底来るはずもない。
この時藍蘭はそう思っていたのだ――彼女と、出会うまでは。
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