第十八話

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先日、夜に連れ出してもらった時、ジレは言っていた。 『今度からは暖かい格好で外に出よう。』と。 迷惑をかけなたくない、気を遣わせては申し訳ない。 ヘレナはもう既に、寒さに震えないように服を着込んでいた。 着込む、ということはそれだけ着る服が増える。 それだけお洒落な自分を演出することができる。 ヘレナは今の季節に感謝した。 今回は靴下も履いてある。 もちろん、靴だって準備してある。 ヘレナは万全の状態だった。 だからこそ、不安になってくる。 もしもジレが来てくれなかったらどうしようか、と。 「まだかな…。」 三時十分。 ヘレナが呟いたその瞬間のことであった。 コンコン。 窓がノックされ、開け放たれる。 「ジレ…!」 窓の気配は段々とヘレナに近づいてくる。
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