第十八話

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「お待たせ…ヘレナ。」 ヘレナはジレの優しい声に安心した。 ジレは今の今まで考えていた。 隠れ家にしているあの洞穴で。 何をするのが正解なのか。 いや、それよりも、自分が何をしたいのか。 「全然待っていないわ。」 ヘレナの望みを叶えてあげたい。 昼間に一緒にピクニックに行ってあげたい。 「それよりもあの、どうかな、この格好……似合ってる、かな?」 そんなことをすれば、自分は砂になって死んでしまう。 だったらそのことをヘレナに説明したらいいだけではないか、簡単なことではないか。 「あぁ、とても似合ってるよ。」 しかし、そうなると、ヘレナの望みは一生叶うことは無くなる。 「…ふふ。」 ヘレナの残り少ない時間で叶えたい願いと、自分の命。 ジレは、選び、ここに来た。 「さぁ、行こうか。」 ヘレナは気づかない。 息が乱れ、苦しみ出しているジレの姿に。 「うん!」
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