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「大丈夫ジレ?」
「あ、あぁ、少しむせただけだ…。」
「そう?…そうだ、おやつにしましょ?確かこの辺に……あった!」
ヘレナは手探りで近くにあった木の椅子を見つけた。
「一緒に座って食べましょ?」
「そう、だな…。」
「?」
ジレの途切れがちな言葉に、ヘレナは違和感を抱く。
それが歯切れの悪いものと勘違いしたヘレナは、自身の手を差し出した。
「もしかして家のこと気にしてるの?大丈夫。お父様とお母様には、ここに来ることは伝えてあるわ。時間なんて気にせずゆっくりしましょ?」
ゆっくり。
そうできたらどれだけいいだろうか。
いつまでもこの『いつも』が続いたら、どれだけいいだろうか。
だけど、ヘレナには時間がない。
それ以上に、ジレ自身に残された時間はもう、ほとんどない。
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