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「あ、あぁ、覚えてるよ。」
今のジレにはどっちが上でどっちが下か、区別がつかない。
ジレはそのまま口に運ぶ。
クリームは…。
「…良かった。こぼれなかった。」
「そうでしょ?……モンブラン美味しい。」
「シュークリームも、美味しいよ。」
かすかに感じることのできた味を、伝える。
「ふふ…。美味しくてもう食べ終わっちゃった。」
ジレの手からシュークリームが落ちる。
「紅茶飲む?凄く美味しいのよ。」
あぁ、だけどもう。
時間は残されていなくて。
「ヘレ、ナ……!」
自分がしたいことを。
自分が伝えたいことを、伝えたい。
ジレはヘレナを抱き寄せた。
「きゃ…?」
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