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「ヘレナ、好きだ!」
自分の力が出せる限りに。
自分の想いが伝わるように。
ジレはヘレナを抱きしめた。
視界が黒に染まっていく中ジレが見たのは、ヘレナの戸惑っている顔だった。
しかし、その表情はすぐに変わる。
「ありがとう…私もジレ大好き!」
ジレが最後に見たモノ。
それは自分が一番求めたモノ。
ヘレナの輝く笑顔。
「…良かった。最後にその言葉が聞けて。本当に、良かった。」
「最後?…え?」
ヘレナの顔が曇る。
ジレにはもう、それすらわからない。
時間は二人が共に過ごすことを許してくれない。
「ぐ、くっ…。」
ジレはヘレナから離れる。
「ジレ…?」
「ありがとう…ヘレナ。短い時間だったけど、俺は本当に……幸せだった。さようなら。」
「そんな、急に…?どこに行くの?行かないで!」
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