第十九話

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「ヘレナ、好きだ!」 自分の力が出せる限りに。 自分の想いが伝わるように。 ジレはヘレナを抱きしめた。 視界が黒に染まっていく中ジレが見たのは、ヘレナの戸惑っている顔だった。 しかし、その表情はすぐに変わる。 「ありがとう…私もジレ大好き!」 ジレが最後に見たモノ。 それは自分が一番求めたモノ。 ヘレナの輝く笑顔。 「…良かった。最後にその言葉が聞けて。本当に、良かった。」 「最後?…え?」 ヘレナの顔が曇る。 ジレにはもう、それすらわからない。 時間は二人が共に過ごすことを許してくれない。 「ぐ、くっ…。」 ジレはヘレナから離れる。 「ジレ…?」 「ありがとう…ヘレナ。短い時間だったけど、俺は本当に……幸せだった。さようなら。」 「そんな、急に…?どこに行くの?行かないで!」
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