最終話

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「貴方のではありませんよ?」 「…はい?」 「貴方はよく勘違いをされるお方だ。どの道このワイン、貴方の口には合わないと思いますよ?」 「???」 「今日が何日か、お忘れですか?」 「…あ!」 セバスチャンは両腕を広げ、語るかの様に喋り出す。 「今日は、死んだ者の霊が、生前住んでいた家に訪ねてくる日。つまり、この世ならざる者、人間でない者が、魔界と人間界を自由に行き来できる日でもある……。」 セバスチャンとドールは、階段の方を向く。 その顔は笑みに満ちていた。 「で、合ってましたっけハクシャク?いえ……父さん?」 ドラキュラの足音が、二人の耳朶を打ちつつあった。
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