風が鳴る日まで

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風が鳴る日まで

春の季節、中旬。今日も私のお気に入りの風はなびいて来ない。 風は何時だって気まぐれで自由自在で予想が読めない。気象学者だっていちいち読めない。 昔の航海士の航海術には風を読む力がとても大事だったようだけれども、そんな技術を持った人はもう少ない。 そう、歴史が進み技術が進化していくたびに過去の遺産の技術は衰退していく。私が読んでいる小説もそう、過去の偉人の作家さんの小説はとても面白い。難解で行間を読まないと分からない小説ばかり。でも、今は紙媒体の小説は減っていき電子書籍やネットの小説ばかりに皆、目が行く。 一時期はやった携帯小説、友達は読みやすくて楽しいと言っていたけれども、私には軽すぎて逆につまらなかった。 そう、過去の技術は今の人達には難解すぎるのだ。私はそれを知っている。私は珍しく過去の技術が過去の小説が好きだから特殊と言われる。……ふつうのコトなのに……。 「……あ、いい風」 私はその風が鳴る日まで世界を歩み続け見守ろうと思う。何時か過去の技術と現代の技術が融合するその日まで。本当の進化をする日まで。
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