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ようやく寮へ着いて、自分の部屋を開ける。
「竹田さーん今帰りましたー」
玄関から大きい声で叫ぶと、部屋の奥からドタバタとこちらへ向かってくる音がした。
「ハァッ……ハァッハァッ……ハァッハァッハァッ……ハァッ…………ハァッ……ハァッ…………お前、いつも、ハァッ……帰ってくる…タイミングハァッハァッ…悪すぎるんだよハァッハァッ……死ね…ハァッ」
「相手の子は?」
「とっくに窓から逃がしたわ!!!!!!」
「そいつは良かった」
俺の同室者である竹田朝信さんは、
びっくりするくらい女たらしの危険人物だ。
朝部屋に入れば隣に女。
食堂へ誘おうと部屋に入れば隣に女。
夜用事があって部屋に入れば隣に女。
以前疑問に思って聞いたことがある。
「ここ森ん中の男子校なのになんで女の子いるんすか?」
と。
それに対して竹田さんは
「俺レベルになると女からやってくんのよ」
と。
「ハッ」
「ハイ鼻で笑いましたね、許しませんよ」
俺をビシッと指さす竹田さん。
「いい加減に俺が帰ってくるか帰ってこないかの所で、女とヤろうとするのやめて貰えませんか?羨まし……いや間違った。羨ましいです」
「言い直せてねぇ。おま、馬鹿野郎!!!来るか来ないかのスリルが堪んねぇんだろうが!!!!!!」
竹田さんはひとりで寝るのが嫌な寂しがり屋だ。
そもそもひとりが嫌なのに、学校ではいつもぼっちだから救えない。
「女の子連れ込むとか羨ましすぎて殺せそうなので、控えてください。友達作れ」
「だっからいつも言ってるじゃねえか…。上坂が一緒に居てくれたら万事解決なんだって」
「今初めて聞きましたよ」
「今初めて言ったからな」
「「……………………」」
俺は無言で竹田さんにコブラツイストをかけた。
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