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「いやほんとなんで??」
「おれっち諒ちゃんのことだいすきだけどライクの方なんだよなぁ〜ごめんな?」
「俺はお前にライクもラブもないが????」
俺と西山はどっちも女の子が好きなノーマルである。そして西山の俺への愛は行き過ぎた友情であって。さらに俺の西山への愛はこれっぽっちもない。
「だろ??だから俺も否定しといたんだぜ」
えっへんおっへんと誇らしげな転校生の頭をウリウリと撫でてやった。いいぞ転校生、お前の長所は素直さだ。
羨ましそうな顔を向けてきた西山もついでに撫でる。よしよし。お前は特になんもしてないけどな。
ふわふわほわほわ穏やかな雰囲気の中、なにか忘れてるような気がすると感じつつまったりしていると、何やらそぐわしくない音が聞こえてきた。
ガラッ!!
「ヘイ諒!!!!!!」
「お帰りください」
息を切らして……、なんだもう肩で息をしてるじゃないか。
足ガクガクだぞ。どこから走ってきたんだ。
傍から見たら凄く滑稽なのに、それを吹き飛ばすくらいに、ていうか実際西山と転校生は吹き飛んだんだけど。キレてるのがわかる。
人でも何人かお殺しになられましたか?と聞きたくなるようなオーラをまといながらズカズカと教室に入るヤンキー、もとい羽場夏輝。
「帰らねぇよ、おいどういうことだ諒」
唸るような低い声でギチ、と俺の腕を掴んできた。すごい力だな馬鹿野郎。
「いたいいたいバカ離せ」
「ちょっとこっちこい」
ズルズルと教室から連れていかれる俺。
「おい待てどこいくんだ」
「………………。」
「悪いことしちゃったんなら謝っからさ〜お前怖ぇよ〜」
「………………。」
なんかいつもと違うんだが。
腕の骨もうミシミシいってるし痛いしちくしょう。
いつものお前はどこいったんだよ出てこいって。
しばらく引きずられて、ってオイオイここってあれじゃねえかなに???
目の前にあるのは、忌まわしき過去に俺がコイツに襲われた場所である体育館倉庫だった。
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