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「……なあ、お前さ」
俺は恐る恐るヤンキーに声をかけてみる。
「……………………。」
無言である。
いやもうこれ絶対あれなやつじゃん!何とは言わないけどあれなやつね!!そうつまりあれ!
「ぁ、あのさ〜」
「入れよ」
ずっと話しかけてきたのを無視し続けた第一声がそれですか、そうですか。
とりあえずこのまま入らないと後ろから蹴りを入れられそうなので、クソビビり散らかしながら入ることにした。
ガラッと扉を開いたらヤンキーも俺に続いて入り、間髪入れずに鍵を掛ける。
どわひゃ〜〜やばいよなやばいよね間違いなくねこれ。
でもそもそも何でキレてんのか分かんないもん。
どうにかしたくても分かんないもんは分かんないんだから、どうしようもねえんだよ。
俺が何も言葉を発せずにいると、ヤンキーが温度のない目でこちらを眺めながら口を開いた。
「俺さ、お前のこと好きなんだわ」
………………え???
「………………んぇ……??ま、それは、さ?……しっ、てる、、?けど……、?」
それを聞いたヤンキーの顔に、
ああ俺は何か間違ったこと言っちゃったんだな、って瞬時に感じた。
「知らねーだろ」
ガンッ
「……ぉわ!」
知らねーだろ、の「ろ」の発音で扉に押し付けられ顔を強く掴まれた。
「な、な、なななに……?てか待ってなんでそんな怒って、ってらえ、ま、っんぅ」
すごい形相で睨まれているその原因を必死に探していたら、近づいてきた顔に躊躇もなく噛み付くようなキスをされた。
「ん〜〜〜〜〜っ!」
離せ離せ、はなせよ馬鹿野郎。
分厚い胸板を力の限り叩きまくる。
けれど至って平凡な力を持つ俺には到底意味の無い行為で。
なんでだよ、100億歩譲ってキスはいいよ。
───────だけど、なんで、そんなかなしそうなかお。
支えられてもない身体は力が入らなくて、次第にそのキスは深くなっていった。
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