クラスマッチ準備期間だネ

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「ん、っ……ふ、……っぅん」 「……おい、鼻で息しろ馬鹿」 fa???潰すぞ?? なんやねんお前のせいだろ、なんだその態度は。割と沸点の低い俺は軽くキレて、ヤンキーの舌を噛み切ろうと試みた、 ところで、 「……あっ……っ??ぇあっ……!??」 素早く足を払われて後頭部を引き寄せられたと思ったら、マットの上に押し倒された。 「なんだよほんとにお前はもぉおお〜!!!!」 「いや、ヤろうと思って」 「ヤろうと思って!!!???」 信じられん。意味わからん。 お前が俺のことを好きなのはわかった。 でもなんですぐそっち側に行こうとするんだ。 プラトニックからいくもんじゃねえの。 なんなの、こんなこと言いたくないけど、お前俺の身体だけが目当てなの。 お前のこと好きって訳じゃないけど嫌いでもないんだぜ、俺は。 ここに入学してビビってキャラ作って、まぁ作るってほどでもなかったけどさ。 俺は割とビビりなんだよ。 だから、この状況もちょっと、怖いわけで。 「……これ以上なんかしたら俺、お前のこと嫌いになるぞ」 「……ん、それでもいいぜ。俺はお前のこと抱けんなら誰に嫌われてもいい」 「…………やっぱり理解不能だ。身体目当てじゃねーの」 俺の言葉に、驚いたようにちょっと目を見開いたヤンキーはすぐに諦めたように微笑んで、俺の額に唇を落とした。 「愛ゆえだよ」 そんな愛認めるか。 だけど、たぶん、それがこいつの精一杯の愛情表現で。 その、こいつなりの愛情表現が俺に対しては間違いだってきっと、もう自分自身で知ってる。 でもその表現以外こいつは知らないから 諦めたように微笑むのか。悲しい顔をするのか。 そう思ったらなんだか一気に悲しくなって、喉の奥が狭くなって手足に電気が走ったかのように痛くなった。 段々と視界がぼやけていく俺に、目の前のこいつはどんな顔をしてるんだろう。 「ふっ……っぅぅ〜〜……ひっく……っ」 周りの人が悲しんでるのは嫌だなと感じる。 たとえそれがヤンキーじゃなくても。 西山でも転校生でも、風紀副委員長でも担任でも。 目の前のヤンキーが笑えるようになるには 俺がヤンキーの気持ちに応えるのがいいんだろう。 だけど俺のこんな気持ちのまま付き合うのは、まっすぐ見てくれるお前に失礼だと思ったんだよ。 「うぅ〜〜〜〜〜、……ヒっ、く」 あぁもう嫌だ。阿呆みたいに涙がでてくる。 こんなに泣いたのいつぶりだ、と言いたいとろこだが俺は結構泣く。 「諒、泣くなよ。お前に泣かれると痛いんだ」 宥めるように頭を撫でられた。 悲痛な声で言われても、俺が泣いてんのはお前のせいだ。嘘だ。何でもお前のせいにしてごめん、 俺たちずっとこんなんじゃお前が幸せになれないよ。 「…っ…ヒック、おまえ、も、う俺のことあきらめろよ……っひっく」 自分勝手な発言をしたと後悔した。 ふざけるな、と、殴られても文句は言えないくらい。 それなのに 「……悪い、それは出来ない」 なんて優しい声で言うから 「〜〜〜っ謝るなよ……!」 また傷つけた。謝らせた。最悪だ。最低だ。 相手への申し訳なさと自分への不甲斐なさと ままならなさで、ますます泣けてくる。 ヤンキーと俺の額がコツンと合わさった。 「……お前は何が原因で悲しんでるんだ?」 俺が嫌い?男に迫られるのは気持ち悪いか? その質問に頭を左右に降った。 その振動で涙がまた零れる。 お前の気持ちに応えられないのが嫌なんだ。 こんなに想ってくれてるのに、俺の身勝手で傷つけて悲しませてるのが痛いんだ。 しゃくりあげながらその旨をたどたどしく伝えた俺に、ヤンキーはニコッと笑った。 「俺はお前のそういう優しいところが好きなんだ」
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