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────────優しいのは、お前だろ。
なんでそんなに優しいんだ。
俺は、お前の気持ちに応えられないんだぞ。
ヤンキーはエグエグと泣いている俺の頭を終始撫でてくれている。
くそ、くそ、優しくすんな。
「おれ、おまえのこと、すきじゃないんだぜ」
「でも嫌いでもねーんだろ?」
「おれ、おまえがいってるようなさ、そんな、やさしいやつじゃないよ」
「お前は、お前が思ってる以上に優しいよ」
「……なんで、そんなに」
「お前が好きだからだよ」
頭に置かれていた手を背中に添えられてふわっと抱きしめられた。
「なぁ、分かれよ。俺はお前のことがおかしくなりそうなくらい好きだし、守りたいと思ってる」
分かってる。伝わりすぎて痛いくらいだ。
思う存分思い知った。お前は、俺の事を愛してる。
はぁ、痛い。心臓、痛てぇ。
「も、つたわったから、さ」
こんなに大っぴらに想われるなんて初めてだ。
顔が熱くなって、抱きしめられているヤンキーのワイシャツに押し付けた。見られてたまるかこんな顔。いやもうとっくにみっともない姿見られたけど。
「おーい。そんな可愛いことすると襲っちまうぞ〜」
「……そういえば、なんでキレてたんだ」
「あ、スルー?いやいーんだけどさ。でも理由はヤダ。いいたくない」
なんだそんな子供みたいに駄々こねやがって。
こっちがどんなにびびったと思いやがる。
キッとヤンキーを睨みつけると、バツが悪そうにヤンキーは目を逸らした。コノヤロウ。
「……………………。」
「………………………………。」
「「……………………………………。」」
「あ゛〜〜〜〜〜〜〜!!!!も、わかったよ言うよ言えばいーんだろ!」
無言の攻防が続いているとヤンキーが耐えきれなくなったようで、頭をガシガシ掻きながら言った。
その通りである。早く言えばいいんだ。
そして俺の恐怖をなくせ。怖かったんだ、ほんとに。
それで、それでもって、理由は
「なんだったんだよ」
ヤンキーが息を大きく吸った。おぉ怖ぇ。
「〜〜〜っおまえが!あの西山だとか言う男と!!付き合ってるって聞いたから!!!」
くそカッコ悪ぃ、と俺の肩に手を乗せて項垂れた。
嫌わないでくれよ、という言葉をのせて。
「…………えっと、まず最初に言っとくがよ……、俺、西山と付き合ってないぞ」
「…………んなの知ってるよ、……でも傍から見たら付き合ってるように見えるぐらい仲が良かったってことだろ、嫉妬したんだよ結果を言うとよ」
「あ、そーゆうねなるほどね可愛いね」
「そーいうのっ!まじ、いーから!!!」
珍しく赤面して狼狽えているヤンキー。
そーいうのもういいの俺のほうね。
ん?ということはもしかしてヤンキーさんよ、
「これもう仲良しな感じ??」
びみょーなことは直接聞いちゃう。
どうなんだいヤンキーさん。
ヤンキーは面を食らったようで驚いた様子を見せながら
「仲良しで、いーんじゃん?」
と、笑った。
なんか顔、疲れてんね。塩飴食べる?
でもそっか、仲良しか。よかったよかった。
2人はヤンキーがLove、諒がLikeの感情を持ちながらルンルンと体育館倉庫を出た。
このあと教室に戻ったら西山と転校生に泣きながら怒られたのは言うまでもない。
でも、その2人が憑き物が落ちたような俺の顔を見て説教を早々にやめたのも言うまでもない。
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