クラスマッチまで長かったね

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「で、これからどうします?諒ちゃん」 俺たちは自分の出る競技までそれぞれ時間があるので、ここからは割と自由な時間だ。 「お前らは?」 「んんん俺っちはぁ〜〜、男同士の絡み愛でも見てよっかなって」 「俺は勇気をだしてそこら辺の連中に話しかけて、あわよくば友達になって頂こうかなって」 上から西山、転校生。 どいつもこいつもクラスマッチをなんだと思ってやがる。 俺はどうしてもこいつらと同類だと思われたくないので、別行動をとることにした。 ──────────竹田朝信と。 覚えているだろうか。 竹田朝信といったら、 極度の女好き・極度の寂しがり屋・そして極度のボッチといった三重苦を手にしている俺の先輩であり同室者だ。 偶然会い、声をかけるとニヤニヤした顔を向けてきた。 「んん〜??お前そんな俺と一緒に居たかったんか〜??可愛いヤツめ〜〜」 ウリウリと頭を撫でてくれる竹田さんだが、ついさっきまで他校の女生徒と乳くりあっていたのは知っている。 ずるいです竹田この野郎。 本当に羨ましかったので、後日こいつの下駄箱に毛虫とムカデを入れてやろうと思う。 「いや別にそんな一緒に居たいっつーわけでもないんでいいッス」 「もっと俺に執着して!!!!??」 「そーだよなんで真っ先に俺ん所来ねーんだバカ」 頭に何やら力がかかる。 目の前には真っ青な顔をした竹田さん。 この声はつい先日も聞いたことがあった。 まぁ楽しいっていう記憶ではなかったけども。 ヤツに肩を後ろから掴まれ、そのまま回転させられる。 目が、あってしまった。 「………………ハァイ羽場くん」 「ハァイ俺の諒♡」 予想通りのヤンキーさん。 …………あまり会いたくはなかったのだが。 あの日の一件以来、何から何まで気まずくて。 こいつの前で泣いてしまったこととか、慰め、宥められたこととかエトセトラ。 マジに、ガキみてーだったし俺。 平たく言うと、少しだけ恥ずかったのだ。 「ううううう、う、う、上坂……!!この、金髪の似合うイケてるお兄さんはどちら様で……!?!?」 竹田さんは、ヤンキーの機嫌を損ねないよう必死である。 俺は竹田さんに紹介するためにヤンキーに指を向けた。 「羽場夏輝。ヤンキーです。」 「おッス〜俺、羽場夏輝!一応ヤンキーやってマース〜!!」 紹介されたそいつは元気ハツラツに手を挙げてそう言い放った。 「ははァ……!ヤンキーさんでいらっしゃいましたか〜……!!」 ヤンキーと聞いてすっかり恐縮しきった竹田さん。 オヨヨヨ……助けてミキコちゃん……、と呟いている。 ヤンキーに身をかがめられ、目を合わせられたと思ったらニッコリと微笑まれた。 「で、諒は俺と一緒に居るだろ??」 「え、、っと、その」 正直2人だけはやばい。こいつがあの日のことをどう受け取っていようと、いくら仲良しで終えてようと、恥ずかしいものは恥ずかしいのだ。 羞恥と罪悪感といたたまれなさで耐えられる気がしない。 そこで助けてくれたのは先輩竹田さんで。 「あ、ヤンキー殿が良ければ3人で居るか?ちなみに俺は女の子が好きです」 保険をかけるのも忘れない竹田さんマジ痺れる。足が震えてなけりゃ120点満点でした。 「ん、それでもいいぜ。お前とも話してみたいしな」 バリバリ兄貴肌なヤンキーに少し拍子抜けした様子の竹田さん。 「えっと、、ちなみに俺のケツとかって……」 「ハハッ俺は諒にしか興味ねぇ!!」 思いっきり安心したように息を吐く竹田さんにカッカッカッと笑うヤンキー。 上手くやってけそうだと思いつつ、なんとも謎なメンバーが揃ったものだ、と感心すらする俺だった。
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