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無駄にでかい校内の敷地を歩きに歩いて、やっとこさ障害物競走観戦中です。
「おわっは!見事にみんなボロボロだなぁ〜」
「竹田さ〜ん、そんなニヤニヤしてるとまるで性格が悪い奴ですよ」
まあ確かに良くはないすよね!と元気よく言ったら竹田さんに殴られた。いわく、「俺が性格悪いわけあるか」だそうで。
世の中には一瞬でわかる嘘もあるものだと、俺はしみじみ思った。
「諒、そういやお前は競技何出んだ?」
割としっかり障害物競走を観戦しているヤンキーは、競技を見たまま俺にそう問いかけた。
「……借り人競走…………」
「あん?出たくなさそうだな」
余程渋い声をしていたのか、盛大にカッカッと愉快そうに笑うヤンキー、いや笑うな。
「お題、『好きな人』が出たら迷わず俺んとこ来いよ」
「行かねーーーーし!!!?」
「お題、『お世話になってる先輩』だったら俺のところでいいぜ?上坂」
「あっ平気っす」
この対応の差にヤンキーはニヤニヤし始めて、握っていた俺の手を強く繋ぎ直した。
え?なんすか?断ったよね俺。
「愛してるぞ諒〜」
………………あーーーもうほんとうるさい、笑うな言うな覗き込むな近づけるな!
「そっゆうの!ほんと!いいから!!!」
「お前はほんとに可愛いな」
「っるっさい!!!」
お返しに自分の持てる力全て使って思い切りヤンキーの手を握った。いやもう握りつぶす勢いだった、俺的には。
すると、ヤンキーはまた幸せそうにニコニコ笑うので。
あーもう、
「…………クソっ」
熱くなった顔は下を向いて隠した。
「ねぇ上坂。俺ここに要らないよね??」
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