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竹田さんがまるで胃もたれしたような顔でそう言ってくるので、
「いやっす!!!(俺の保身と安全の為にも)一緒にいてください!!」
「無自覚天然ヒロインみたいなフラグの立て方するなお前」
俺ちゃんの苦手なタイプのヒロインなんだ勘弁してくれよ。
そして、先程の上坂の言葉から一言も喋ってない羽場がひたすらに怖い。
チラチラ様子を伺っていると、羽場と目が合った。
「おい」
「ヒェッなんでございましょうかちなみに俺ちゃんの好みのタイプはフワフワムチムチなかわいい女の子です」
俺の優秀な脳みそは、命の危機をしっかり感じ取ってくれたみたいで100点満点の回答を口から出してくれた。
すると羽場は、なにやら面食らったような表情をして豪快に笑い始めた。
「……ッアッハッハ!!別にあんたと諒の関係を疑ってるわけじゃねえよ。ただ、やっぱりあんたが居ると諒も過ごしやすいだろ?
……だから、もう少し一緒に行動してくれねぇ??」
「え、好きです」
1億点満点の回答かよ。
「は、ちょ、竹田さん!!???」
何やら眉を下げて焦ったように俺ちゃんの袖を引っ張る上坂。
「あんだよ」
「え、あんだよって、まって、好きってなん、え?、好きなんすか?好きなの?」
羽場のこと好きになっちゃったんすか……?と不安そうに聞いてくる後輩くんと、その斜め後ろで顔を真っ赤にしながらしゃがみこむヤンキー。
は?俺ちゃんもしかしてダシにされた???
二人がイチャつく当て馬にされた??
いやここまでしてなんで付き合ってねえんだよ。片思いの時期を楽しみたい中学生か。ドキドキしてたいお年頃か。
「上坂よ」
「……はい」
「俺は羽場を好きじゃない全くLIKEもLOVEもない。さっきのはノリ。男子高生特有のあれだから勘違いしないでよね」
「……嘘?」
「嘘ってかノリだよおバカちゃん」
「そ、っかぁ〜〜〜」
全ての緊張が解けたように、同時に顔の強ばりもなくなった。
うんうんよかったね。俺は当て馬にされたけどね。俺ちゃんじゃなかったら暴れてたよ。
「りょお〜」
「え、っんぐぅ」
は????????????
神様へ。
俺ちゃんは、俺ちゃんは、キレてもいいと思うのです。何が悲しくてこんな後輩とヤンキーの濃厚キッスを目の前で見ないといけないんでしょうか。俺ちゃんは何かしてしまったのでしょうか。否、していない。(反語)
「っ!ちょ、まっ……っんぅ」
ハイハイ俺は邪魔ですね、やっぱりね。
どーせ俺ちゃんはぼっちですよ。いいもん。
女の子呼ぶもん。いっぱい居るもん。
思い切り不貞腐れた俺は、メイなんか知らないよろしく上坂なんか知らないをしようと、彼らに背を向けた。
その時、
「お前ら!!!何をしている!!!」
爽やかな風と共に、突如聞こえたのは凛々しい声。
また、面倒臭いことになりそうだ、と隠れて溜息をついた俺だった。
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