第1話 そしてこれからも

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  「…ふぅ、いやぁ、楽しかったな、六弥。」   「そう、ですね」   「?どうした六弥。何か元気ないけど、楽しくなかったか?」   「あ、いや、もちろんちょー楽しかったです!楽しかったんですけど、んと、その…」   あっという間に別れの時間が来て、正直まだ別れたくなかった。   まだ、澤木さんといたかった。   俺やっと、分かったよ。   俺、澤木さんのことが完全に好きになった。   心臓は無駄にドキドキするし、澤木さんを見れは見るほど見惚れちゃうし  かっこいいし優しいし。   それに、意外な一面があったり、より色々知ることが出来て。   もう俺の心は、澤木さんで一杯だった。   「だけど、何なんだ?言いたいことがあるなら言えよ、な?」   「…はい、えっと、あの!俺!さ、ささ澤木さんのことが好きです!  それで、良かったら俺と付き合ってください!」   …言った。   言ってしまった。   言ってやったぞ。   うん、ふと我に返って、そういえば周りに人があんまいないか見るの忘れてたもんで、  ちょっと焦った。   けど、誰もいなくて安心した。   普通の人だったら、んな現場見たくねぇもんな。   TPOを巻わまえないとな。   「!?……あ〜、うん、ごめん、気持ちは嬉しいけどさ、付き合えないわ。ほんとごめんな。」   軽く目をそらし、頬を人差し指でぽりぽりと描きながら申し訳なさそうに言う  澤木さんだった。   …うん、分かってた。   振られるってことぐらい分かってたよ。   でも、伝えたくて、言いたかった。   心臓、痛いな…   「!はい…やっぱ、そう、ですよね。そう言うと思ってました。  いきなりこんなことに言い出してすいませんでした。でも俺、  本当に澤木さんのことが好きで、これを伝えずには言えなかったんです。  このまま胸に閉まっておくのもなかなか苦で。えと、その。」   だんだんと泣きそうになったけど、意地でも泣きたくなかったから何とか絶えながら、  言葉を紡いだ。   「…そっか、もういいよ。気持ちは十分伝わったから。  ありがとうな、俺のこと好きになってくれて。これはちょっとしたお礼だ。」   「え、おr─…!?」   そう言う澤木さんにお礼とは何かと機構とした瞬間、軽く触れるだけのキスをされた。   …え、え!?   い、いいいい今、き、キス、したよね。   え、したよね!?   さ澤木さんが俺にキス、を…!   「…え、ええぇぇぇ!?さ、澤木さん、い、今俺n─ムグッ」   「しー、だよ六弥、その先は、大声で言っちゃ周りにバレちゃうから、ね?」   コクコク   口は今澤木さんの手で塞がれてるので、顔を上下に振って、答えた。   …ずるいよ澤木さん   そんなことされたら…   余計好きになっちゃったじゃないですか   顔すごくあついし、ぜってー顔真っ赤だよ。   心臓もドクドクうるさいし。   あー…ダメもうこれ重症だ…   「ありがとう。じゃぁ、もう時間も時間だから、そろそろ解散するか。」   「あっ、いや待ってください!あの!良かったら今日1日泊めて欲しいです!」   もう、澤木さんを諦め切れないよ。   罪な男だよ、澤木さん。   離れたくない。   澤木さんの傍にいたい。   まだ、一緒にいたい。   だから、許されるのなら、今日1日、ずっと居たい…。   「…はい?」   「だから!今日だけでいいんです!あんなことされて、澤木さんのこと、  忘れられないですよ…今日だけ、もう言いませんから、だから、  許されるのなら今晩泊めてほしいです…」   嫌われるかな   もう、お前とは縁を切る、なんて言われちゃうの、かな   「…はぁ」   ビクッ!   怖い…!   …ポン   「…え?」   「フッ、そんなビビんなくとも、もう嫌いになったりなんかしねぇよ。  あんだけ言っといて、意外と臆病なんだな。うん、しょうがない、  今回だけだそ?六弥。今日だけ特別に泊めてやるよ。出家大サービスだこの野郎(笑)」   「…え、マジっすか?本当ですか?澤木さん。今の幻聴じゃないですよね?」   「当たり前だ馬鹿野郎。折角頑張って決断したのに、もうちょっと  面白い反応してくれると思ったんだがなぁ(笑)  まぁ、これはこれでちょっと面白かったがな(笑)」   「〜!!もう澤木さん大好きです!ありがとうございます!流石澤木さんです!」   「だから、大きな声でそんなこと言ったらダメだって(笑)」
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