それからの日々

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それからの日々

その日は、(うち)に帰って、ひとしきり泣いた。 次の日から友里の予言どおり、狂ったように僕は物語を書き続けた。それは、悲しみを振り払おうとするのではなく、この哀しみの中にこそ真実があると信じるという心境だった。 確かに友里はもうこの世にはいない。でも、彼女と僕との(つな)がりは、誰にも消し去ることはできない。僕が物語を書き続けるという作業をしている限り。それが彼女とのストーリーの続きに違いなかった。 彼女への想いの中から言葉は(あふ)れ出てくる。枯れない泉のように。 絵本のストーリーが完成した翌日、その原稿を持って僕は、友里が小学生の時に夏休みを過ごしたという、房総のとある村に向かった。その場所に行けば、彼女が待っているかもしれない、なんて淡い夢を描いて。 坂道を一歩一歩登って行く。息が切れそうになっても、途中で止まったりしない。君に再び会うためにここに来たのだから。 君が呼びかけたような気がして、僕は振り返る。そこには、誰もいない。 二人で過ごした日々。君は確かに僕に寄り添って(そば)にいた。 でも、君を失った今。君の存在はあの日々よりもずっと大きくなった。僕の心中で。 君は遠くへ旅立った。 それからの日々、僕は、絵のない絵本を書き続けている。
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