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エピローグ
ここはトゥエルブ怪盗団アジト。三人がかろうじて逃げ帰ったら、既にもう一人の助手のナインが朝ごはんの用意を始めていた。
ナインは異様な三人組に「今度は誘拐したか……」と呟き『トゥエルブノート』にメモをする。その誤解を解くのに結構な時間がかかってしまった。絵画はとりあえずトゥエルブ特性金庫に保管しておいた。
「で、結局逃げてきたの?」
ナインは朝ごはんのシメであるシリアルを食べながらトゥエルブ、イレブン、エースの話を聞いていた。
「仕方ないんだ! ぜってえ面倒なことになる!」
「いやいや、怪盗名乗ってボランティアの時点で、でしょ」
「ナインの言う通りですよ……まさか『幽霊と絵画ついでに美術館の綺麗さと甲冑の靴を頂いた!』なんて情けないカードを置いて逃げるなんて……」
「う、うるせーー!」
「何でボランティアなんか行ったんだか……」
「だって美術品に理解がある人歓迎なんて言われてひよったら、怪盗トゥエルブの名が泣くぜ」
「もう泣いてるでしょ」
「そんなプライドで今後僕らを巻き込むのはやめてください。焼きますよ」
トゥエルブへの助手からの一斉攻撃に、エースは特にコメントも無く辺りを見回している。
「ねえトゥエルブ! 僕テレビこんなに大きいの初めて見た! 館長用のしか無かったからさ! 付けてみてよ!」
「い、今は……」
「良いですよ」
イレブンはニュースの局に容赦なく回す。どこも怪盗トゥエルブの話題で持ち切りだった。美術館に置かれた即興のカードの話で盛り上がっている。
「ま、まさか自分の名前を聞くのがこんなに嫌な日が来るとは……」
「いつもいつも自分の活躍ばっかビデオに落として見せてくる罰です。反省してください」
「はぁい……」
ナインは二人のやり取りを聞きながらリポーターの話をメモする。
「ねえ、ナインだっけ? それ何書いてるの?」
「トゥエルブノートよ」
自慢げにナインはノートを見せた。そこにはトゥエルブの動向が事細かに書かれている。エースは訳が分からず黙ってしまった。
「……?」
「気にしたらダメだ。ソイツは筋金入りの俺様のストーカーだ」
「私はトゥエルブ、あんたをいつか捕まえるためにここに潜り込んだ名探偵ナインちゃんよ! ストーカー呼ばわりされる筋合いなんて無いわ!」
「ナインちゃんて、お前もう22だろうが! 大体通信にも出ないで連ドラなんて見やがって!」
「黙りなさい! 17歳の子供の癖に!」
トゥエルブとナインの低俗な争いに更に目が点になっているエースにイレブンは肩を抱く動作をする。
「わかるでしょう? 考え直せって意味が……」
「う、うん……」
イレブンのため息と二人の喧嘩。大きな不安とちょっとした期待を胸に、亡霊怪盗エースのトゥエルブ達との新生活が始まった。
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