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「……安全な場所って何処ですか…………」
「そうだなあ。爺ちゃんの屋敷に俺様特性金庫でも置いておけば将来的にも大丈夫だろ」
「お爺さんが可哀想ですよ……」
「大丈夫だって。こんないつ日の目を見るはめになるか分からない場所より、爺ちゃん家の方が絶対安全だよ」
「あ、あのさあ……さっきから聞いていれば盗めること前提で話進めてるけど君たち正気……? イレブンはまともだと思ってたのに……」
最後の一言で機嫌を悪くしたイレブンは黙っている。代わりにやれやれといった感じでトゥエルブが答えた。
「当たり前だ。俺は怪盗トゥエルブ様だ、安心しろよ。絶対盗んでやる」
「し、知らないからね……!」
関わらないようゴーストが外に行こうとしたが、咄嗟に今の状況を思い出す。そんなゴーストにトゥエルブは笑顔で近づく。
「もちろんお前に協力してもらうぜ。古の怪盗さんよ」
「うぐぐ……まあ、仕方ない。良いけどさ…………」
「そういえば、ゴーストの名前を聞いていませんでしたね」
「わかんない、忘れちゃったんだ」
死者が生前のことを思い出せないという話はよくある。何とかひねり出そうとうーんと悩んでいるゴーストに、イレブンはそっと優しく手を置いた。しかし体質のことを忘れていたため、それも通過してしまう。バランスを崩したイレブンをトゥエルブは雑に支えた。
「……大丈夫……?」
ゴーストの訝しげな目は、これから起こる出来事を不安に駆り立てた。
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