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転生審査 その1
目を覚ますと、僕の目の前には銀髪のロングヘアーの女性が立っていた。
僕はわけが分からず、目をこすって周りを見渡した。
変な空間だった。現実的じゃないと言うか、宇宙のような非現実な世界に見えた。
そこで僕は椅子に座っていて、銀髪の女性は……女性というか女の子はこういった。
「えーと。貴方がユートくんで間違いないわね?」
「……はあ」
まだ夢を見ているのだろうか目のピントがおぼつかない。
「貴方、死にましたよ」
銀髪の女の子はハッキリと僕に死の宣告をした。
「はあ……死にましたか。死因は?」
「随分冷静ね、貴方」
「はあ」
「死因は過労死。寝不足の状態でバカみたいに暑い外を歩き回っていたら脱水症状で倒れて、誰も気づかなくて完全放置だったわ。まぬけな死に方ね」
「過労死……」
そういえば、頭がふらついて倒れた気がする。
「そこで、そんな惨めな死を迎えた貴方にご提案ですよ、お客さん」
銀髪の女の子は口調を関西の商売上手なおばちゃんみたいに切り替えてこういった。
「なんと!今なら、違う世界で生きることが出来る権利を抽選していて、貴方は見事に当たりました!」
「はあ……」
「なによ、もっと喜んでよ」
「いや、なんかこのシチュエーション見た気がするなあって。アニメとかで」
「そう、ありきたりだけどありえるのがこの選択の場。さあ、貴方は生まれ変わった新しい世界で何をしたい?」
「よくわからないけど、幸せに睡眠がしたい……そんな世界が良いです。はい」
銀髪の少女はメモ帳みたいなのに「幸せな睡眠がしたい……」と言いながら書いていた。マメだ。
コレはなに? いわゆる現代社会における小説の異世界物とかそんな話なのか?
僕にはどうしてもそうとしか思えなかった。
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