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転生審査 その2
銀色の髪の少女はメモ帳を閉じてこう言い始めた。
「貴方を違う世界に連れていくのは確定なんだけど、なんかね調べてみたらそこって鬼がいるみたい。しかもチョー強いやつ」
「はあ」
「だからね、貴方に平穏な生活をさせるには鬼を倒してもらわないといけないの。チョー強いやつね」
「そっすか」
そこで銀色の髪の少女は僕を見て「貴方、物書きの才能があるわね。それを武器にしてみない?」
そういった。
「小説を武器に?」
「要はその世界になんらかの力を持っていってもらわないとすぐ死んじゃうから」
その女の子、よく見ると服に名札があった。
じっと見てみると、「生まれ変わり担当部 リーゼ」と書いてあった。
どこも会社みたいなものだなあと思った。
「で、死んじゃうから紙を防具にペンを武器にして生き抜いてもらいます」
「あー。そういう設定ね」
僕はなんとなく納得した。要は、紙に書いた人間は死ぬ的なアレか。
「商談成立ね。貴方には今から新しい命をその世界で生き抜いてもらいます。鬼を倒せたら願い事を何でも一つ叶えてあげます」
「あ、じゃあ願い事を先払いで良いですか?」
僕はそういった。
「あら? 何かしら。先払いの願いなんて今まで聞いたことないわね」
「貴女、一緒に来てもらいますか?」
その時一瞬の間があった。
……
………
……………
「はあああああああ!? 私!?」
予想通りビックリしたようだ。
「え?なんで私?私は関係ないでしょ!コレは貴方の物語なのよ!?」
なんかゲームで聞いたセリフだなあと思いつつ続けて言った。
「いや、そんな世界に新しく生まれ変わっても、異世界語分からないし、場所も分からないし。不親切ですよ、リーゼさん。ナビしてくださいよ。ナビ」
リーゼは凄く悩んでいた。
「ナビ……ナビ……ナビゲーション」
「出来ないんだったら、僕はこの命ココまででいいです。消えます」
「ちょ、ちょっとまって! うーん、生まれ変わり担当の私が生まれかわらせなかったら責任問題になる……」
「どうします? やりますか?やらないですか?」
何故か、僕が優位な立場にいた。攻守交代だ。
「……だけよ」
「はい?」
「ナビゲーションだけよ! 戦闘には一切関わらないから私は!」
あー。権力や立場に弱いタイプの子か。
「まあ、それで良いっすよ」
「はあ……じゃあ新しい世界に行くわよ。このドアをくぐれば直ぐだから」
僕とリーゼはドアを開けてその新しい世界に来た。
なんとなく流れで僕の人生2回目がスタートしたのだった。
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