鏡の中のわたし。

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 彼の第一印象って、わたしのなかではあんまり良くはなかったのだけど。  それでも。あんまり関わらないでいればいいや、って、そんな風に考えていた。     おはよう林さん。  あれから、彼は朝会うたびにそう挨拶してきた。  わたしの方と言えば、とりあえず会釈だけ返して、そのままあとはなるべく関わらないようにしようとして。  なるべく彼の方は見ないようにしていた。  でも何故か、わたしの視界に入ってくるのだ。彼は。    わたしは普段、講義中以外は本を読んでいた。  いつも文庫本の小説を二、三冊は学校に持ってきて。  おはなしを読むのは好きだったけど、それだけの理由ではなくて。  まわりの子達との会話を避けていたから……。  とりあえず本を読んでいれば煩わしい会話もしなくて済む。  そんな風に思っていたし、実際、あまり話し掛けられることもなかったのだ。  それでも彼だけは、違った。  ふと気が付くと前の席に陣取って、わたしの読んでいる本を覗き込んで。  そして妙に馴れ馴れしく話し掛けてくる。  そのたびに、しょうがないから少しは返事をしなくてはならなくて。  といっても、はい、とか、いいえ、とか、そうなんですか、とか、そんな短い返事だったのだけど。    嫌、だった。    ナンデコノヒトハ、ワタシノジャマヲスルノダロウ。  ナンデソットシテオイテクレナイノダロウ。  
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