I

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次なる代償はサンテガルの許嫁リンダだった。酒場で働くリンダはアイリーンと変わらない若い娘で街一番の美女だった。 サンテガルとの激しい一夜を共にした後、眠りについたリンダは目覚める事なく燃え尽きていった。サンテガルは傍らで遺灰を抱いて眠った。未明になり、サンテガルは刻印の影響か過酷な状況下からか、艶やかだった金髪は萎びれた白髪に変わり、日に焼けた小麦肌は屍人のような血色の悪い灰色に変容し、背部に新たな刻印が浮かび上がっていた。サンテガルは虚で赤いモヤに染まる瞳で私を睨み、こう言った。 「グラハム、我が敬愛なる教師グラムよ。次はお前を生贄に捧げると言ってくれ。私は、喜んでお前を焼き殺してやりたい」 朝日の端が顔を出す頃にはサンテガルの瞳は完全に赤く染まり、もはや人間とは思えない風貌となっていた。 サンテガルは悟っていた。次なる代償が何か。そしてこれから始まる旅に備え、荷物をまとめていた。
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