プロローグ 遠藤金藤は、主人公になりたくない。

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プロローグ 遠藤金藤は、主人公になりたくない。

振り返ってみれば、望んでるものは巡ってこないのに、望んでもないものに限っては巡ってくる。 俺の人生は、いつもそうだった。 「おい! 遠藤(えんどう)! パスいったぞ!」 「お、おおおお!?」 必死に脚を伸ばしたところで、ボールはおさまらないわ。 「遠藤……お前、またこの点数って、なめてんのか?」 「すみません、至って本気です」 試験の順位は、どの教科も、毎回下から数えた方が超早いとか。 「ごめんなさい……私、薬師丸(やくしまる)くんのことが好きなの!」 「あ、ああ、そうなんだ! 良い奴だよなあいつ! 君、まじセンスあるね!」 好きになった女の子は、俺の幼なじみが好きだとか。 そんなことばかりだった。
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