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「俺は幼稚園児か」
「……………」
文句を言いながら、ちょっと嬉しそうな航太は特に変わり映えしない気がするけど。
「風呂は?」
「あー、うん」
「お湯、ちゃんと残しといて」
「うん」
左手のスプーンでオムライスをひと掬いした航太を見届けて風呂に入った。急いで全身洗って出たら、航太はキッチンで洗い物をしようとしているところだった。
「俺やっとくから……風呂交代」
「………うん」
あ、洗い物の前に着替えを出さないと。
居間を横切ろうとした時、炬燵の上に新品らしきApikaノートとガッシュスクリーモが置いてあるのが目に入った。
いつも思うけど、この黒いノートってまるでデスノートだ。ここに俺の名前が呪術的に書いてあったらマジで死が訪れそう。
パラリと捲ると同時に呪術的に美しい基準字体が目に飛び込んできた。
見慣れた航太の字なのに─────心臓が跳ね上がった。
『智 大好き』
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