trap.1

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「大丈夫、可愛いよ」 その言葉と笑顔に、ドキッと心臓が跳ねた。 「それなら良かったです……」 動揺して何故か敬語になる。 だって可愛いなんて片桐君に初めて言われたし、しかも片桐君は無駄に顔が整っているし。 動揺しない方がおかしい。 「じゃあ行こうか」 片桐君は私の動揺にも気付く様子もなく、笑顔のまま言った。 その姿を見たら思った。 社長の息子だし、格好良いし、きっと女の子に可愛いなんて言い慣れているに違いない。 とりあえず気を引き締めて、いざ出陣。 連れて来られたホテルは、誰もが知っている高級ホテルで逃げたくなった。 だってこんなホテル、足を踏み入れたことなんてないもの。 隣の片桐君を恨みたくなったが、彼は被害者。 それに引き受けたからにはやり遂げなくては、と腹を括った。
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