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「大丈夫、可愛いよ」
その言葉と笑顔に、ドキッと心臓が跳ねた。
「それなら良かったです……」
動揺して何故か敬語になる。
だって可愛いなんて片桐君に初めて言われたし、しかも片桐君は無駄に顔が整っているし。
動揺しない方がおかしい。
「じゃあ行こうか」
片桐君は私の動揺にも気付く様子もなく、笑顔のまま言った。
その姿を見たら思った。
社長の息子だし、格好良いし、きっと女の子に可愛いなんて言い慣れているに違いない。
とりあえず気を引き締めて、いざ出陣。
連れて来られたホテルは、誰もが知っている高級ホテルで逃げたくなった。
だってこんなホテル、足を踏み入れたことなんてないもの。
隣の片桐君を恨みたくなったが、彼は被害者。
それに引き受けたからにはやり遂げなくては、と腹を括った。
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