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「もう全員集まってるって。早く来いって催促のメールが母さんから来た」
エレベーターの中で片桐君が携帯を見ながらげんなりした顔で言った。
片桐君は私達の待ち合わせの時間を彼らの集合時間よりもわざと遅くした。
全員揃っているところに二人で登場するために。
ついに待ち合わせの最上階のレストラン。
二人で入り口を通り、片桐君が名前を告げるとスタッフに案内されて私達はついて行く。
あぁ、緊張する……朝から何も食べれなかったんだよね……。
成功したら片桐君にランチを奢ってもらおう。
それくらい良いよね?
なんて考えながら歩いて行くと個室への扉をスタッフが開けた。
「由貴、遅いぞ」
片桐君を呼んだ低い声。
片桐君の背中しか見えないけれど、片桐君のお父さんだろうか?
「本日はよろしくお願いいたします」
淑やかな声が聞こえると、やっと人が見えた。
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