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彼女が座っていたのと片桐君の背中で見えなかった。
「櫻木綾乃と申します」
立ち上がった彼女は自己紹介をした。
片桐君に向けて丁寧に下げられた頭。
お辞儀まで美しい。
その姿に見惚れていると彼女と目が合った。
「由貴さん、その方は?」
彼女は私を一瞥だけして、すぐに私の横の片桐君へと視線を流した。
艶やかな黒い髪にきめ細やかそうな白い肌に映える赤色を基調とした着物姿で、姿勢、仕草、見た目も全て綺麗な和装美人が居る。
この人が婚約者かな?
「きゃっ!」
彼女を見ていたら、片桐君に肩を突然引き寄せられて、私は彼の胸に顔を寄せている形に。
逞しい胸板と近過ぎる距離に心臓が一気に飛び跳ねた。
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