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「はぁ、はぁ、成功した?」
二人で逃げ込んだエレベーターの扉が閉まると私は安心して片桐君の手から自分の手を引き抜き、背中を壁に預けて肩を揺らしながら問い掛けた。
「あぁ、助かった」
片桐君は微かもブレていない声で返した。
片桐君は大学でバスケのサークルに入っているからだろう。
私はというと高校の体育の授業以来の全力疾走だったから息が整う気配も無い。
「凄い、綺麗な人で、ビックリした」
「そうかな?」
小首を傾げる片桐君。
片桐君って背も高いし、顔も整っているから、よく女子に囲まれている。
見慣れすぎて感覚が麻痺しているのだろう。
「私が片桐君なら付き合ってみるのにな〜。だって凄い美人さんだったから」
なんて考えていたらポロリと口から漏れた。
ドラマの中にいるお嬢様がそのまま飛び出てきたくらい美人だった。
裕福で美人って、ズルイななんて思っちゃう。
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