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デートするかねた
まゆちゃんがあと1時間ちょっとでバイトに行かなきゃならないから、近くのカフェでプチデート。
お互いに飲み物を頼んで、学校より近い距離で向かい合わせに座る。
今度どっか遊びに行こうよ、とオレが切り出したタイミングで、突然まゆちゃんが怖い顔をした。
「かねたさぁ、ピーマン苦手でしょ」
「ん?んん?!」
「あとー、椎茸とプチトマトも?」
暖房控えめな店内で、嘘つきなオレは汗をかき始めた。
まゆちゃんはオレを軽く睨んでホットレモンティーをふぅと吹く。
「かねたさぁ、私がかねたのこと前から気になってたの、知ってた?」
え?ほんと?
「き、気付かなかった……」
「だよね。かねた、いっつも私のこと興味なさ気だったし」
尖らせた唇がかわいくてドキンとする。
「そんなことないよ」
いつもかわいいなって思ってたよ。ただ、恥ずかしくて格好つけちゃうんだ。
「私は、前にかねたがピーマン苦手って言ってたの覚えてたよ」
えー、それじゃあ今日のピーマンはわざと?なんで?
「かねたが、オレ好き嫌いないよって嘘ついてくれて、私すごーく嬉しかったんだ」
まゆちゃんは照れたように目を伏せて、レモンティーに口をつける。
「これから一緒にご飯食べたりしたいから、早目にカミングアウトさせちゃえって思ったのに、お弁当全部食べちゃうからさぁ……」
また尖らせた唇を見ながら、心の中でゴロンゴロンと身悶えた。
「だってさ、まゆちゃんのピーマン、美味しかったよ」
椎茸は無理矢理飲み込んだけど。
「苦くならないように下拵えしたからね」
ちょっと得意気なまゆちゃんは、それからオレの苦手な食べ物と好きな食べ物を白状させた。
今度遊びに行く時、かねたの好きなお弁当作るね、でも野菜も食べてね。そう言ってまゆちゃんは笑った。
完敗!
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