第1話 平凡な日々

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第1話 平凡な日々

なんで僕は兄さんを好きになってしまったのだろうか。 それに、これを何度思ったか。 兄さんのことが好きだと自覚したのは、おととしの冬の時のこと━━━━━━━━ はじめはこの胸のときめきや、兄さんの顔を見るのがなんだか照れくさくなって あまり見ることができなかった。 この時、この感情が何か僕には全くわからなかった。 一度兄さんにこの感情が何か聞こうと思ったけど、何故か聞くことができなかった。 聞こうと思っても自然と歯止めがかかって聞けなかった。 まるで、聞いてはいけない、この感情は忘れるんだと言わんばかりに…。 それからしばらく経ったときのこと。 僕がある本を読んでいた時に、僕が抱いていたこの感情の正体がわかった。 その時に僕は、兄さんに恋しているんだと自覚したんだ。 自覚したときは嬉しくなったけど、それもつかの間、、僕は絶望の淵に 突き落とされたんだ。 それはある、テレビ番組でのことだった。 それは、僕と同じ、同性に恋をしてしまった人たちの番組…。 僕はその番組を見て、一瞬にして絶望の淵に突き落とされた気持ちになった。 そう、僕の恋は世間からは否定されるものであること。 普通の人から見れば、同性に恋をするのは気持ち悪く、理解されがたいもの。 …ということは、僕は……。 僕は、途中からその番組を見ることができなかった。 いや、見ていられなかったんだ…。 辛くて、苦しくてどうしようもない感情に駆られて泣きそうになった。 だから僕は、自分の部屋にこもってその日はずっと泣いていた。
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